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2015-09-18

損害保険各社が火災保険改定を実施します

近年、台風を含む自然損害の増加や冬季の凍結、建物の老朽化による

水漏れ等の事故による保険金の支払いが増加していることから、

昨年7月、損害保険料率算出機構による参考純率が改定されました。

 

※参考純率とは

損害保険の保険料率は、事故が発生した場合に保険会社が支払う保険金

にあてられる部分(純保険料率)と、保険会社が保険事業を営むために

必要な経費等にあてられる部分(付加保険料率)からなっています。

損害保険料率算出機構は、このうち純保険料率を算出し、参考純率とし

て会員会社に提供しています。

 

これを受けて、損害保険各社が、平成27年10月1日以降保険始期

の契約について商品改定を行います。

 

保険料率の改定はもちろん、保険期間も改定されますので、

順に詳しくみていきます。

 

  • 住宅総合保険の参考純率を平均で3.5%引き上げ。

※契約条件(建物の構造、所在地、建築年月)により、保険料が引き上げ

となる場合と引き下げとなる場合があります。

 

[改定率の例]

参考純率における保険金額が建物2,000万円、家財1,000万円

の場合の建物構造ごとの改定率の例です。実際の契約にあたっての

保険料の改定率とは異なります。

 

M構造(鉄筋コンクリート造等の共同住宅)

北海道 +7.2%

青森県 +16.7%

東京都 +12.0%

大阪府 +12.0%

福岡県 +24.1%

 

T構造(鉄骨造等の耐火構造などの建物)

青森県 +24.7%

東京都 -0.2%

大阪府 -4.2%

島根県 -6.7%

熊本県 +26.5%

 

H構造(木造住宅等のM、T構造以外の建物)

秋田県 +23.2%

東京都 -4.5%

大阪府 -16.0%

香川県 -20.3%

福岡県 +28.7%

 

  • 火災保険の参考純率は保険期間が10年までの契約に適用できることとする。

 

これまでは最長で36年の契約が可能でしたが、台風を含む自然災害の増加に

よって、将来予測に不確実な要素が増大していることから、長期にわたる保険

契約のリスク評価が難しく、長期契約の保険期間が最長10年に改定となります。

 

・改定前2年~36年

・改定後2年~10年

 

[沖縄県の台風被害による保険金の支払状況]

2012年 台風17号 15,364件 支払保険金92億6,386万円

2011年 台風2号  6,958件 支払保険金28億9,002万円

2011年 台風9号  4,815件 支払保険金22億8,433万円

 

沖縄県は保険加入率が全国より低いため、

実際の被害額はこれより多いものとなります。

 

長期の火災保険契約は、購入する住宅ローンの返済期間にあわせて加入する

ことが多く、長期契約にするほど保険料が割安になりますので、10月1日

以降保険始期の契約は、従来の保険と比べると負担感が変わってきます。

 

ただ、当社が販売している投資用区分マンション(専有面積20㎡~30㎡)

は、保険期間が35年契約でも20,000円~50,000円前後と、もともとの

保険料が低いので、その影響は少ないですが、投資用にファミリーマンション

(60㎡~)や一戸建て、ましてや木造のアパートなどを購入される場合などは、

当初の保険料が高いのでその負担も大きくなると予想されます。

 

これまでの長期契約と比較すると保険料が割高にはなりますが、

この改定によって、10年毎に保険の見直しや確認が容易になるため、

新商品の発売や規定・料率が変更になった場合、機動的に動くことが

できるというメリットもあります。

 

不動産投資に限らず投資をするうえで、

その投資環境が変化するのは避けられないことです。

 

保険料率が割高になってしまった、契約期間が短くなってしまったと

マイナスに捉えるのではなく、その変化をプラスに捉えることも

投資をするうえで重要ではないでしょうか。

 

出典:損害保険料率算出機構・日本損害保険協会沖縄支部