不動産の基礎知識

2015-10-02

資産価値を維持するために!避けては通れない大規模修繕工事

「大規模修繕を実施する場合、実際にはどのくらいの費用が掛かるのですか?」

「どのような工事を実施するのでしょうか?」

 

マンション投資のリスクの一つとして取り上げられることもあり、

このようなご質問をよく頂きます。

 

どのようなマンションであっても、資産価値を維持するために、

10年~15年程の周期に一度、大規模修繕工事を行います。

 

マンションを所有し、運用をしている限り、大規模修繕工事は

避けては通れない重要な要素となります。

 

そこで今回は、どのような工事が行われるのか、そして、

購入する前に押さえておくべき修繕積立金についてお伝えします。

 

大規模修繕工事では主に、外壁やコンクリート部分の補修、屋上防水

の補修など、数ヶ月単位の時間を要する大掛かりな工事を実施します。

 

その工事費用は、マンションの規模や工事内容によって異なりますが、

区分ワンルームマンションの場合、最低でも1,000万円以上の工事

費用が発生します。

 

では、どのような工事がどのくらいの周期で実施されているのでしょうか。

 

【屋根防水】

補修…12年

屋上・屋根の撤去・新設…24年

【外壁塗装等】

 コンクリート補修…12年

 タイル張補修…12年

 外壁塗替…12年

 外壁塗装・塗替…36年

【床防水】

 バルコニー床防水修繕…12年

・給水・排水設備

 給水管厚生…15年

 給水管取換…30年

 排水管厚生…15年

 排水取替…30年

【昇降機設備】

 昇降機補修…15年

 昇降機取替…30年

【立体駐車場設備】

 補修…5年

 立替…20年

 

※数字はあくまでも目安になりますのでご注意ください。

 

修繕をするべき設備やその周期が数字で表されている、

それは即ち、マンションに修繕はつきものだということです。

 

とはいっても、修繕工事をする度にその費用を所有者に請求

していては、所有者の負担が大きくなってしまいます。

 

そこで重要になってくるのが「修繕積立金」です。

 

この積立金は、25年~30年という期間の長期修繕計画に基づき、

建物の経年劣化に対応した適時適切な修繕工事を行うための費用を、

毎月各区分所有者から徴収していきます。

 

修繕積立金の積立は、長期修繕計画の作成時点において、計画期間に

積み立てる修繕積立金の額を均等にし、5年ごとの計画の見直しにより、

修繕積立金の額が決まってくる均等積立方式と、期間が経過するごとに

段階的に金額を引き上げる段階増額積立方式があります。

 

ここで、

「その積立金は適正ですか?」

このようなご質問をいただくことがあります。

 

正直、その修繕積立金が適正なのかを判断することは難しいです。

 

インターネット等では、1㎡当たりに対していくら必要になるのかを

記載していることもありますが、マンションの規模や設備によって

その額は異なります。

 

中古マンションを購入するうえでは、積立金が適正かという事も大切ですが、

○修繕積立金が安すぎないか

○修繕積立金がしっかりと積み上げられているのか(滞納がないか)

○今後の改定予定があるのか

○長期修繕計画が作成されていて定期的に見直しが掛けられているのか

 

この4つが重要となります。

 

修繕積立金が安い場合、「安いのだからいいんじゃないの?」と思われる

かもしれませんが、特に新築マンションの場合、見かけ上の「毎月かかる費用」

を押さえるため、最初は修繕積立金を安く設定し、経年と共に段階的に金額を

引き上げる方式を取ることがあります。

 

この場合、だいたい5年~10年前後で積立金が引き上げられているケースが

多いので、築浅物件を検討する場合には、今後の改定予定に注意が必要です。

 

修繕積立金が計画通りに積み上げられていない場合や、滞納が発生している

場合は、いざ修繕工事を実施する際に工事費用が足りず、各区分所有者が

不足分を負担しなければならないことがあります。

 

購入前には必ず、「重要事項に係る調査報告書」

で滞納がないか確認をしてください。

 

国土交通省の平成25年度マンション総合調査によると、

昭和62年度から平成25年度の間で、長期修繕計画を作成している管理組合の

割合は増加傾向にあり、昭和62年度は65%、平成25年度は89%のマンション

で長期修繕計画を作成しているという結果が出ています。

 

逆に、長期修繕計画を作成していない管理組合の割合は昭和62年度が28.6%、

平成25年度では8%と減少傾向にあります。

 

また、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定

しているマンションの割合も年々増加傾向にあります。

 

さらに、平成5年から平成25年度のなかで、長期修繕計画に基づいて

修繕積立金を算出しているマンションの割合も、平成5年度の64.7%から

平成25年度の79.5%と増加しています。

 

この調査結果から、築が古くなればなるほど、長期修繕計画が計画されていない、

計画が杜撰であるため、修繕のリスクが他の年代のマンションよりも高いことが

読み取れます。

 

冒頭でお伝えしましたが、マンション投資において

修繕のリスクは、避けては通れない重要な要素です。

 

しかし、どのようなリスクでもリスクマネジメントは可能です。

 

修繕のリスクを最小限に抑えるには、

物件選定が重要になってくるのではないでしょうか。