不動産の基礎知識

2018-11-16

マンションオーナーになるなら知ってきおきたい『東京ルール』

猛暑が終わって実りの秋がやって来たと思ったら、

もう冬は直ぐそこまで迫ってきています。

 

この季節になると、忘年会やらクリスマス、年越しなどの

イベントが目前ですが、マンションオーナーともなると、

来年に控えた確定申告の準備や年明けからの賃貸市場が

気になる所です。

 

年を超えた1月~3月は入居者の入れ代わりが最も多い

繁忙期に突入しますので、退去や退去時の原状回復、

修繕工事などが気になり始めているオーナー様も

いらっしゃるのではないでしょうか。

 

所有物件から入居者が退去した場合、退去から次の入居者

が決まるまでを如何に短くできるかが重要になってきますが、

それと同時に、退去時の原状回復や修繕工事の費用も忘れて

はいけません。

 

マンションオーナー、賃借人、立場は違えど退去時に

揉め事になりやすいのが原状回復や修繕工事ですので、

オーナー自身、どちらが何を、どこまで負担するのかの

境界線を知っておく必要があります。

 

そこで今回は、退去時の原状回復と修繕工事費用の

負担についてご紹介します。

 

突然ですが、『東京ルール』

という言葉をご存知ですか?

 

東京ルールとは、2004年に賃貸住宅の退去時の原状回復や

入居中に発生した傷に対する修繕をめぐるトラブルを防止するため、

東京都都市整備局が定めた「賃貸住宅紛争防止条例(東京における

住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)」を指します。

 

条例では、宅建業者は賃貸住宅(事業用は除く)を借りようとする

人には、契約の前に、原状回復や修繕の費用負担の原則、借主の

負担としている具体的内容を記載した書面を交付し、説明するよう

義務付けられています。

 

そのため、借主は原状回復の費用負担について、

事前に承知したうえで入居していることになります。

 

このルールは東京都の条例ですが、

その趣旨に沿った契約形態は全国に広がっています。

 

東京ルールでは、経年劣化と通常の使用による損耗は貸主負担

となり、故意・過失のほか、通常の使用方法では発生しえない修繕

に関しては入居者負担となります。

 

故障や不具合を放置したことによって、傷が発生したり、

拡大したりした場合も、入居者負担となります。

 

より具体的な例を見てみましょう。

 

直射日光によって壁紙が変色した、冷蔵庫の後ろの壁紙が電気

焼けした、家具の設置によりカーペットがへこんだ、などは

経年劣化と見なされ、貸主負担となります。

 

また、破損や紛失のない場合のカギ交換、次の入居者のための

浴槽・風呂釜の取り替え、トイレの消毒もオーナー負担です。

 

よく「賃貸だから壁に画びょうを刺せない」と言われますが、

下地ボードの貼り替えが不要な程度はオーナー負担となります。

 

一方、タバコのヤニによる変色や、臭いの付着は入居者負担です。

 

最近は屋外の喫煙所が減っていることから、

室内で吸うことが多くなりがちです。

 

この他、手入れを怠ったことで発生したカビ、設備の故障、

くぎ穴やネジ穴、引っ越し作業で発生したひっかき傷などは

入居者負担となります。

 

また、クーラーから水漏れして借主が放置したために壁が

腐食した場合も借主負担となります。

 

ただし、特約によって借り主に特別な負担を課すこともできます。

 

では次に、貸主、借主の負担割合について考えてみましょう。

 

借主の故意・過失、善管注意義務違反などによる損耗等であって、

借主の負担で原状回復すべきとされている場合であっても、借主

が全額を負担しなければならないわけではありません。

 

例えば、クロスの一部を借主の不注意で破いてしまった場合、

破損したクロスの張替え費用は借主の負担です。

 

また、破損部分もやはり経年変化・通常損耗をしており、

その分については貸主の負担となりますから、借主は補修費用

からその分を差し引いた額を負担することになります。

 

しかし、このようなルールがあるにも関わらず、管理会社が借主

過失や借主負担部分を正確に把握できない、担当者のチェックが

甘いケースがありますので、貸主負担が多くなることもあります。

 

管理を全て業者に丸投げできる事が不動産投資のメリットの1つ

ではありますが、貸主である以上、誰が、何を、どこまで負担する

のか、必要最低限の境界線を知っておかなければ、不要な出費を

招きかねません。

 

弊社では、賃貸管理に限らず、原状回復や修繕、リフォームも

グループ会社であるジェイ・シー・アイに依頼していますので、

オーナーの立場になって工事を進めて行くうえ、進捗状況につい

ては都度、弊社に連絡が来ますので、借主負担の所が貸主負担

になっていないか? などをしっかり確認し、工事会社だけの

判断で進める事はありませんので、安心してお任せ頂ければと

思います。

 

『東京ルール』は下記よりご確認頂けます。

 

賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(東京都都市整備局)

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-6-jyuutaku.pdf