不動産の基礎知識

2011-12-02

『消費税増税議論と不動産投資』

消費税の増税論議が本格化してきました。

 

政府・与党社会保障改革検討本部は6月末、消費税について「2010年代半

ばまでに段階的に10%まで引き上げる」ことを決めましたが、これを受けて

年内に、政府、与党の間で「社会保障・税一体改革大綱」をまとめ、来年3月

までに、税率引き上げの具体策を盛り込んだ関連法案を通常国会に提出する見

通しと伝えられています。

 

一方でこのシナリオに対しては、増税の前提となる「無駄の削減」などの作業

が遅々として進んでいない上に社会保障の将来像も国民に示されていない、と

いった疑問や反対論も出ています。

 

この増税の動きに対して不動産協会では、消費税引き上げ時に消費税率の据え

置きや、負担増分の還付など、住宅取得時の初期負担の軽減措置を求めていく

ことなどを含む主要要望事項をまとめました。

 

主張の根拠としましては、以下のようなことが言われています。

 

①住宅は価格が極めて高額であり、消費税の負担も重い。自動車分野などと共

に取得税の廃止が検討されたとしても住宅は消費税の金額が圧倒的に大きく、

多重価税の排除だけでは不十分。

 

②住宅投資は内需の柱であり、波及効果を含めたGDP効果は30兆~40兆

とも見込まれる。消費税引き上げにより住宅投資が減少した際の経済損失が懸

念され、復興を支える日本経済の成長に水を差すことになる。

 

③先進各国でも消費税における住宅の軽減措置が導入されている。

 

業界団体としては当然の主張ではありますが、その根拠には一理あるとお感じ

いただけないでしょうか。

 

消費税増税自体が大変難しい話だと思いますが、その必要性は今や多くの国民

が理解はしていると思います。円滑な議論の進展のためにも、「無駄の削減」

などもしっかり進めていただき、一方でデフレ脱却のための経済回復の政策を

加速してもらいたいものです。

 

さらに不動産会社としては、増税が実施される際の駆け込み的な需要の先食い

や、実施後の反動的な低迷が気になるところです。不動産が消費税引き上げの

例外とならない場合でも、激変緩和のための段階的な引き上げが検討されると

は思いますが、充分な議論と説明、そして上手な手順での実施によりマーケッ

トの混乱を最小限にしてもらいたいものです。