不動産の基礎知識

2014-02-14

確定申告は正確に

今年も確定申告の時期となりました。

今年は3月17日(月)が確定申告書の提出、納税期日となっております。

また平成26年分の所得税の確定申告(平成27年に行う平成26年中の所得につ

いての確定申告)から、事業所得等を有する白色申告の方に現行の記帳・帳簿等

の保存制度の対象が拡大されます。

 

現行の記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、青色申告の方と白色申告の方のう

ち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超える方

ですが、平成26年分からは事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務

を行う全ての方が対象となります。

 

つまり、マンション経営をしている全ての方が対象となります。

 

帳簿に記載する内容は下記の通りです。

・売上げなどの収入金額

・仕入れや経費に関する事項について

・取引の年月日

・売上先・仕入先その他の相手方の名称

・金額

・日々の売上げ・仕入れ

・経費の金額

 

少し面倒くさいなと思われるかもしれませんが、記帳にあたっては、一つ一つ

の取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記

載しても良いことになっています。

 

この作業を怠ってしまうと、さらにややこしい事になってしまいそうです。

 

先日、日本経済新聞にこんな記事が掲載されていました。

『賃貸マンション・アパートなどの賃貸不動産を持つ個人に不動産所得につい

て文章で質問する「お尋ね」が相次いで届き、大きな波紋が広がっている』と

いう内容でした。

 

税務当局は国の財政難を背景に富裕層、無申告者への課税強化に取り組んでおり、

不動産所得者に的を絞れば、効率的な徴収ができるとみているそうです。

 

そこで下記にその「お尋ね」について、まとめてみました。

【お尋ねの内容】

「お尋ね」では、住宅の購入価格やその支払い方法、購入先、前年の所得金額、

購入資金の調達方法などを回答することになっていますが、それらによって、未

申告の贈与がないか、脱税による隠匿資金がないか、などがチェックされます。

 

本人の申告所得や給与収入などを照らし合わせ、不釣合いなほど高額な住宅を購

入していたり、返済に無理が生じるような住宅ローンの借入れをしていたりすれ

ば、当然ながら税務当局から疑いの目を向けられます。

 

【回答しないとどうなる?】

「お尋ね」に対する回答は法律に定められた義務ではなく、回答しなくても何ら

罰則規定はありません。しかし、税務署が少しでも不審に思えば、さらに念入り

な税務調査に発展してしまう可能性もありますので、やましいことがないかぎり

正確にきちんと回答しておいた方が無難です。

 

すでにマンション経営をスタートされている方は、お尋ねが来た際には冒頭で記

載した帳簿の記入やその根拠となる書類(ローンの契約書や領収書など)をしっ

かり保存しておけば、痛くもない腹を探られることは無さそうです。

 

一方、これからマンション経営をスタートされる方は気をつけなければいけません。

 

つい先日のことですが、相談を受けたお客様(以下A様)から節税について以下の

ようなお話を伺いました。

 

A様は新築マンションと中古マンションを比較検討していらっしゃるお客様でした。

 

相談の内容はと言いますと

 

新築マンションの提案をされている会社から『毎月は数千円の持ち出し(家賃から

ローン返済額と管理費等を差し引いた額)になるけれど、確定申告をして戻ってき

た税金で年間の収支をプラスにして運用しましょう』という提案を受けているが、

本当にそんな事が可能なのかというものでした。

 

A様も経費計上できる減価償却費やローンの金利などは年々減少していき、節税効

果は年々薄れていくという事を理解されていましたので、その疑問を担当者にぶつ

けたところ、『確かに減価償却費やローンの金利は減少していくが、その分、雑費

を経費計上すれば良い。領収書の添付義務はないので実際の出費に関係なく、1件

当たり数十万円ほど経費計上すれば良い。』と回答されたそうです。

 

同業として恥ずかしい限りですが、このようないい加減な提案をしている会社が

少なからず存在するのも実情です。

 

当社としては、はっきりとそれは『節税』ではなく『脱税』という事をお伝えしま

した。また、冒頭の帳簿の保存義務や税務当局の姿勢、その提案を実行し、税務当

局から指摘を受けた際のペナルティについても説明させて頂きました。

 

結局のところ、A様は新築と中古の比較は継続するとの事でしたが、その不動産

会社とのコンタクトは断つとのご判断をされました。

 

確かに節税効果はマンション経営のメリットの一つです。しっかりと理解し、正確

な確定申告をしないと、知らず知らずのうちに、本来のマンション経営のリスクで

はない脱税というリスクを背負わされる事になりかねません。

また、その様な営業活動を行っている不動産会社には十分ご注意ください。

 

弊社では購入後のお客様に対して、提携税理士事務所のご紹介や当グループの

税務担当(税理士)が確定申告の勉強会を開催しております。

 

皆様のマンション経営に対するバックアップをしっかりと行っておりますので、

安心してお任せいただければと思います。