不動産の基礎知識
2010-02-05
『最近の二つの発表から感じること』
1月29日に、総務省より2009年の人口移動報告が発表されました。
それによると、三大都市圏(東京、名古屋、大阪)への転入超過数(流入数か
ら流出数を引いた数)は前年比で4万9709人減少し、10万4369人に留まった
とのことでした。
もう少し分解すると、東京圏では転入超過15万1696人⇒11万7461人とプラ
ス幅を縮め、名古屋圏では転入超過1万3525人⇒転出超過4537人とプラスが
マイナスに転じ、大阪圏では転出超過1万1143人⇒8555人と連続マイナスな
がら転出幅縮小となっています。
金融危機後の景気低迷、雇用悪化が人の流れを停滞させた、というのが要因分
析となっていますが、自動車を中心とする製造業が集積する名古屋圏では特に
影響が顕著だったようです。
また、減少したとは言え東京圏のプラス幅は大きく、当然ながら他の都道府県
のほとんどはマイナスになっています。
数字は一つですが、いろいろな見方、考え方があると思います。
東京圏の数字にしても「転入超過3割減か」とトーンダウン的に感じる人もい
るでしょうし、「100年に一度と言われた不況でも、東京圏の人口は増え続けて
いるんだ!」と、そちらの方に驚かれる人もいるかもしれません。
また、今後の目指す方向でも様々な見解があるようです。
「全体的な経済成長のためにも都市機能の強化などによる、生産性の高い都市
部へ人を呼び込む政策が必要だ。」という意見もあれば、「疲弊する地方経済を
救うため、地方からの人口流出を食い止める地域活性化の政策こそ重要だ。」
という意見もあり、それぞれの立場もあるのでしょうが難しいところです。
さて、もう一つ2月3日には、このメルマガでも以前特集しました『東京スカ
イツリー』につきまして、事業主体である東武鉄道に対する日本政策投資銀行
などによる協調融資決定の発表がありました。
東京スカイツリーは高さ634メートルで、東京タワーの2倍近くありますが、
その塔本体向けに650億円を投じるとのことです。
しかし、足元に広がる3.7ヘクタールの敷地の開発には、それ以上の700億円
の融資金額が決定していました。
圧倒的なものが出来そうです。
そして、それは巨大な雇用を生み出すはずです。
業界的な身びいきかもしれませんが、前段の問題に関する一つのヒントのよう
に感じました。
全体で均一的に痛みを分かち合うのではなく、誰かが閉塞状況の突破口になる
ような圧倒的存在になる方が、あくまで個人的にですが、未来が楽しそうに思
えます。皆さんはいかがでしょうか?