その他

2014-09-19

マンションオーナーに「国家戦略特区」は何をもたらす?

都市再開発が目白押しの東京では、再開発の全貌が明らかになるにつれ

開発地域の需要が高まり不動産投資のさらなる活性化が期待されています。

 

不動産経済通信によると、東京都心5区のビル空室率は14ヵ月連続で改善、

平均賃料は8ヵ月連続で上昇しており、企業の人員増強や事業拡張による

借り増しや移転による需要の高まりが要因として考えられています。

 

特に大規模な再開発が動き出した田町駅から品川駅周辺では、既に将来を

見越したオフィス需要が高まり始めています。

 

そして今後は、街づくりによる人の流れの変化だけではなく、新たなる

起爆剤『国家戦略特別区域を定める政令』による人口増加も期待できます。

 

この政令は、

「産業の国際的競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成の推進」

を目的としており関東圏では、千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区の

都心5区の他、文京区・品川区・江東区・大田区と神奈川県並びに千葉県

成田市が特区に指定されています。

 

この政令による東京の政策目標は

『2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックも視野に、世界で一番

ビジネスのしやすい環境を整備することにより、世界から資金・人材・企業

等を集める国際的ビジネス拠点を形成するとともに、創薬分野等における起業・

イノベーションを通じ、国際競争力のある新事業を創出する』としており、

これからさまざま規制改革が期待され、今年の5月1日に内閣総理大臣決定と

なっている区域方針では基本的な政策課題は5つ、規制改革事項は10項目

となっています。

 

この政策課題と改革事項を“ワンルーム需要”という観点に立ってみた時に

注目すべきなのが「多様な外国人受け入れのための在留資格の見直し」です。

 

現段階では、外国医師の診療解禁が既に規制改革事項に含まれており、

今月9日に行われた国家戦略特別区域諮問会議では、外国での弁護士資格

取得者の解禁、そして女性の就労拡大を図るための「家事支援人材」として

の外国人労働者の受け入れの追加案などが提出されました。

 

外国人労働者は1980年代後半から毎年増加を続けており、規制が緩和されれば

さらなる外国人労働者の人口増加が予想されますので、ワンルームの賃貸需要

にも影響を与えると予測できます。

 

あくまで検討段階の改革案であり、前述した職種以外の職種が解禁される可能性

もあれば断念する可能性もあります。これまで積極的に外国人労働者を受け入れ

て来なかった日本にとっては、慎重に検討を進めるべき事案となると思いますので、

時間は掛かるかもしれませんが、実現した際には日本に移住してくる外国人の

賃貸需要が見込めるようになります。

 

『国家戦略特別区域を定める政令』はまだ始動したばかりであり、

まだ未確定のことが多く、これから新たな政策が盛り込まれてくる可能性も

ありますので今後の動向にも注目してみてください。