不動産の基礎知識

2011-08-12

『理論と実践、バランスの良い研究を!』

刑事ドラマなどを見ていますと、本部の方針と現場の感覚のズレにイライラす

ることがしばしばありますし、そのジレンマ自体をテーマにしたストーリーも

多く見かけます。

 

また、ゴルフや楽器などでは、理論書をたくさん読んでも実践の上達になかな

か直結しない、というご経験を皆様もお持ちではないでしょうか。

 

現代はあらゆるテーマにおいて、書物やインターネットで幾らでも情報が集ま

ってしまう、情報過多の時代と言える気がします。

そしてそれは不動産投資に関しても例外ではありません。

 

書き手も業者、投資家、コンサルタントなど様々ですし、金融理論を応用した

相当堅いものや市況の大暴落・大暴騰の予言、トラブルの誇張、一獲千金の成

功話など、その論調も多種多様です。

 

そして、私たちも商売柄できるだけ話題になった本は読むようにしていますが、

エンターテインメント性を追求するがあまり実践的な内容のものは少ないのが

現状です。そのような大げさな、投資の実践の参考にならない本の方が読み物

としては面白いのですが。

 

私たちはそれでいいのですが、ビギナーのご投資家はどれが大げさで現実味の

ない話なのか判断ができないかもしれません。

それどころか、ご投資家の耳に心地よい「すごく儲かった」とか「とんでもな

い高利回り物件を見つけた」といったトーンの著書をバイブルにしてしまいが

ちです。

 

それが行き過ぎて、せっかく身近に実直な人(=物件)がいても目に入らず、

『白馬の王子様』期待になってしまうと厄介です。

 

私が実際にお目にかかった方でも、こんなケースがありました。

 

【Aさんの場合】

Aさんのご希望の物件は、予算500万円くらいの格安一戸建て、築年数は古

くてもよい、利回りは20%位、といった条件でした。

普段私たちからは推奨しないタイプの物件でしたが、Aさん曰く、不動産投資

関係の本を50冊以上読破して辿り着いた結果とのことでしたので、予断を持

たずお探ししてみましたが、なかなか見つかりません。

 

ようやく一応条件にかなう物件を見つけ出しましたが、それはかなり極小で、

エリアもローカルでした。

喜び勇んで現地に赴いたAさんは、想像と現実のあまりの差に愕然とし、とて

もこんな物件は買えないとのことでした。

 

こんなはずはないと、その後も同様の条件での物件選定が続きましたが、結局

はAさん自身の理想が現実の市場とマッチしていなかったと気が付かれました。

 

【Bさんの場合】

Bさんは、頭金の不要な100%ローンの存在や、中古マンションではローン

と家賃を相殺しても毎月の収支がプラスになることを、書物などを通じて実に

よくご研究しておられました。

 

そして、100%ローンが組め、且つ毎月の収支=【家賃-(ローン返済+管

理費+修繕積立金)】がプラス3万円になる物件、というのがご希望条件でし

た。これは、かなり難しい条件です。

 

その算式を満たすためには相当な利回りが必要ですが、同時にそれはかなり築

古+ローカルエリアの物件にならざるを得ません。

すると今度は100%のローンを提供する金融機関の物件審査を通過しなくな

り、矛盾が生じてしまいました。

 

当社としてはなるべく融資が通りそうな条件の物件を提案しましたが、それで

はBさんの理想とする収支にならない、という堂々巡りになってしまいました。

 

それでもBさんは一度描いてしまった理想を頭から消し去ることができず、な

かなか条件を変更することができないため、不動産投資のスタートが切れずじ

まいという状況です。

 

AさんやBさんの物件探しのお手伝いをしてみて感じたのは、理論や知識と実

践はバランスよく鍛えなければいけない、ということです。

学術研究でも分野によっては、研究室内での文献の研究だけではなく、フィー

ルドワークと呼ばれる、場所(現地)を実際に訪れてその対象を直接観察し、

関係者には聞き取り調査することが重要だと聞きます。

 

不動産投資の研究も同様だと感じています。

それは、適宜のフィールドワークでマーケットの実勢水準を把握していること

が重要だということです。

 

実際に物件を見に現地に足を運んでみたり、ご自身の状況や金融機関の条件に

合わせたシミュレーションを作成してみたりして、現実に沿った形で検討をし

ていくと、AさんやBさんのような状況には陥らず、スムーズに不動産投資の

第一歩を踏み出していけると思います。

 

そして、その時の案内人としてリバックスをご指名いただければ光栄です。