不動産の基礎知識

2018-05-11

1棟?区分?迷ったら『融資の仕組み』をしっかり押さえましょう!

「1棟にするべきか、区分にするべきか悩んでいます。」

 

セミナー終了後の個別相談で、

このようなご相談を頂くことが多々あります。

 

1棟と区分とでは、同じ不動産投資とは言え、メリットと

リスクに大きな違いがあり、どちらを選ぶにしても、

正解は人それぞれ異なります。

 

Aさんにとっては正解でも、Bさんには不正解。

これが不動産投資です。

 

少し冷たく感じるかもしれませんが、

正解は自らで見つけ出すしかありません。

 

なぜなら、お客様それぞれで不動産投資を検討する理由や目的、

属性、投資スタンスが異なるからです。

 

しかし、その正解を見つけ出すにしても、リスクや投資目的を

しっかりと把握したうえで判断しなければ、取り仕返しのつか

ない事態に陥る事は、充分に認識しておく必要があります。

 

ご相談を頂く弊社としましては、お客様が不動産投資をする目的

や目標を十分にヒアリングしたうえで、投資アドバイスをし、

お客様にとって最善の正解を導き出すことを使命としています。

 

そこで今回は、1棟と区分で迷われていた

S様の実際のご購入事例をご紹介いたします。

 

どちらを購入しようかと悩まれている方は、

是非ご参考にして頂ければと思います。

 

S様からご相談を頂いたのは、

セミナー終了後の個別相談でした。

 

「分散投資」という観点から、区分も1棟も両方所有したい

というご意向をお持ちで、ご自身でも区分と1棟の勉強を重ねられ、

融資情報もある程度収集されていました。

 

そこでS様から頂いたご相談が、自身で得てきた区分と1棟の

融資条件に相違はないか、というものでした。

 

S様が得てきた情報と弊社が提携する金融機関情報を擦り合せ、

S様は区分からスタートする事をご決断されました。

 

なぜ、S様は区分からスタートする事にしたのでしょうか?

それは、融資の仕組みが関係しています。

 

まず、通常(投資用不動産など関係なく)の融資枠は個人の属性に

よって融資枠が変動するのが一般的です。

 

区分ワンルームマンションの場合、投資対象となる物件の調査

(新築時販売会社、建物管理会社、仕様、設備など)や、収益

還元評価などを用いて、各金融機関が担保評価を定めます。

 

そのうえで、個人属性評価により年収倍率(6倍から12倍程度

が一般的)や、返済比率などによる融資上限を設けて融資を行います。

 

一方、1棟ものの場合は、土地の価格と建物の合計金額に、金融機関

ごとに規定する算出方法で評価する積算評価、収益還元評価、属性評

価などを総合的に評価し、倍率は20~30倍までを融資上限とする

ケースが多く、区分とは比にならないほど借入額が大きくなります。

 

S様が区分からスタートする事を決断されたのは、1棟の借入額が

大きいがために、区分の融資が通らなくなる事を考慮されての事でした。

 

実は、1棟ものを購入後に区分を検討しようとしても、

「融資が通らない!」という事例が多々あります。

 

下記事例は、実際に弊社に持ちこまれた事例です。

 

A様(40代・年収 1,300万円)

東京近郊の1棟新築マンションを1億2,000万円で購入され、

その後、区分マンションも検討したいと弊社にご来社されました。

 

早速金融機関に相談したところ、A様の借り入れは自宅(3,000万円)

を含めると併せて1億5,000万円の残債があるため、さらに区分の

物件を購入となると、

 

1億5,000万円+2,000万円(区分)=1億7,000万円

 

となり、年収の13倍の借入となるため、新規の融資は厳しいとのことでした。

 

このように、購入する順番を間違えてしまうと、

購入できるはずのものも、購入することができません。

 

S様の事例に戻ります。

 

方向性が決まったことで、さらに細かな条件をお伺いし、

翌週末には物件のご案内をさせて頂き、中央区の築浅区分

ワンルームマンションから、T様の不動産投資がスタートしました。

 

そして、1件目の引き渡しが無事完了したところで、

S様は1棟の購入に向けて早々に動き出しました。

 

しかし、賃貸需要がしっかりと見込めるエリアで希望価格、

希望条件を満たす物件はなかなか見つからず、すぐに動き

を取る事が難しい、という事がわかりました。

 

1棟物件ですから、エリアや築年数、総戸数、周辺環境等、区分の時

よりもシビアに選定しなければ、大きなリスクを負うのは必至です。

 

また、時間を掛けて優良な物件が見つかったとしても、想定している

自己資金で問題ないのか、融資の担保評価は出るのか、取扱い金融機関

の条件(融資期間や金利など)を精査しなければならないなど、区分ワ

ンルームマンションとは比較にならない程の時間を割く事になります。

 

これだけの事を働きながら検討して行く事は非常に難しく、将来的に

必ず必要になる修繕についても、しっかりと計画を立てる必要があり、

S様は、自らの知識量がリスクを招きかねない、と判断し1棟の購入

は見送る事にしました。

 

とは言え、何もしなければ時間とともに借入期間は短くなって

しまううえ、1棟で運用する予定だった資金をそのまま寝かせて

おくのも効率が悪いと考え、元々希望エリアとして挙げていた

港区の区分ワンルームマンションを2件目として購入されました。

 

1棟では希望条件の物件を見つける事が出来ませんでしたが、

区分であれば希望条件に見合う物件を手軽に手に入れる事ができます。

 

S様は今後、1棟の情報を収集しつつ、区分の運用をすることで

不動産投資のノウハウを積み上げ、後々1棟にもチャレンジ

したい、と前向きに取り組んでいらっしゃいます。

 

収益性や利回りといった数字は、一棟物件の方が大きいのは確かですが、

その分借入額や返済額も大きいため、その他の借入にも影響を与えます。

 

また、空室リスクを回避するための物件選定をよりシビアに行う

必要があれば、ノウハウも必須となります。

 

それに比べ、区分ワンルームマンションであれば、選べる物件の幅が広く、

賃貸需要が見込める東京23区内の物件を手軽に購入する事ができます。

 

運営するための手間暇もほとんど掛かりません。

 

もし、1棟ものにチャレンジしたいという方は、融資の仕組みを

押さえたうえで、まずは区分からスタートし、ノウハウを積み上げ

てから、1棟にステップアップする事をおすすめします。