不動産の基礎知識

2014-06-13

目的は明確に!?似ているようで本質が異なるJ-REITと不動産投資

不動産市況の回復が著しい昨今、不動産投資と比較される事の多い

J-REIT市場も東証REIT指数が2年連続で2ケタの連続上昇を記録。

2014年も上昇が期待されています。

 

弊社に相談に来られるお客様の中にも

「J-REIT(不動産投資信託)で既に不動産投資を行っている」

という方が多くいらっしゃいます。

 

そこで今回は『不動産投資』と『J-REIT(不動産投資信託)』の違いが

どこにあるのかを探るべく、『J-REIT(不動産投資信託)』について

お伝えしていきたいと思います。

 

REITとは・・・

REIT=Real Estate Investment Trustの略称であり1960年にアメリカで誕生。

日本では2001年3月に東京証券取引所が不動産投資信託(J-REIT※)市場を

開設し、同年9月に初のJ-REITとして日本ビルファンド投資法人とジャパンリ

アルエステイト投資法人が東京証券取引所で上場したのが始まりです。

※J=JAPANの頭文字から取られている

 

J-REITは、法律に基づいて不動産投資法人という形態を取る事により

有価証券を発行し、この証券を多数の投資家に購入してもらう事によ

って多額の資金を集めています。

 

そして、この調達した資金をもとに不動産投資法人(6/1現在46銘柄)

は不動産を活用して運用を行います。

 

しかし、法律によって不動産投資法人による運用は禁じられているため、

物件の選定や管理などの実務は投資信託会社(運用会社)が担っています。

 

投資信託会社は、委託を受けた投資法人の方針に沿ってマンションや

オフィスビル、商業施設や物流施設、駐車場などといった様々な不動

産を購入していき、これらの不動産を賃貸する事で収益を上げていきます。

 

そして、この収益から不動産を維持するための費用などを差し引いて残った

収益部分を不動産投資法人が各投資家に分配していきます。

 

このとき、配当可能利益の90%超を分配するなど一定の条件を満たす事が

できれば、税法上、不動産投資法人に法人税が課税されません。そのため、

利益のほとんどが投資家に分配されることが多く高い分配金が期待できます。

 

また不動産投資法人は年2回決算を行っており、運用が上手く

回っていれば投資家は分配金を年2回受け取る事が可能です。

(決算が年1回の不動産投資法人もありますので注意が必要です)

 

前述までがJ-REITの大まかな仕組みとなります。

 

この投資商品が登場して13年がたった現在、注目度と認知度は年を追うごと

に高まり、それと同時に不動産投資と比較検討する方が非常に増えてきました。

 

J-REITの場合、数万円程度の少額の資金から投資ができるうえ、

投資先となる不動産投資法人は複数の実物不動産に投資をして

いるため、個人では限界がある分散投資も可能です。

 

またJ-REITは、不動産投資のように多額な投資資金の長期ローン

も必要なく始められ、購入や売却が容易であるため換金性や流動性

が高いのも魅力の一つと言えます。

 

しかしその反面、上場廃止や運営法人の倒産、元本保証が無い上に

各リスクからの反動が分配金に直接響いてしまうため、運用利回り

の乱高下が激しくなってしまう恐れがあります。

 

例えば、あるJ-REITで言えば、サブプライム問題からリーマンショック

に至るプロセスにおいて、1株あたり約70万円から約7万円へと、なんと

1/10へと価格が下落しました。

 

そしてスポンサーは企業破綻。その後、他のスポンサーが肩代わりし一気

に急騰、今度は安値から約4倍の27万近辺に。こんな具合です。

 

果して実物マンションが同じ時期に2,000万円から200万円に、

はたまた200万円から800万円に、などとなったでしょうか。

 

つまり、長期安定的に運用していく不動産投資とは違い、J-REITは

有価証券そのものであり、このアップダウンを楽しみ、タイムリー

な売買を心がける必要がある株式投資に非常に似通った商品だと言

えると思います。

 

実際に不動産投資をお考えになられる方々の本来の目的は、目先の資金の

一揆一夕よりも20年30年先、といった長期安定的な資産形成・収益源の

確保を目的としている方がほとんどではないかと感じております。

 

J-REITと不動産投資を比較検討される際には、両者の特性をしっかりと

押さえる事、そしてご自身のライフプラン(将来の目的)に合った商品

かどうかを選定することが肝要ではないでしょうか。