不動産市況

2016-04-01

8年ぶりの上昇をどう読み取る?2016年「公示地価」

先日、国土交通省が2016年1月1日時点の

 『公示地価』 を公表しました。

 

全国の約70%の地価は前年より下落したものの、経済全体の景気回復の

背景もあり、2009年のリーマン・ショック以降、毎年下落に転じて

いた全国平均の前年比が8年ぶりに0.1%上昇しました。

 

※公示地価とは

公共事業用地の取得価格算定の基準、一般の土地取引価格、適正な地価

の形成に寄与することを目的に調査し、毎年公表。それぞれの土地の

本来の価値を評価することになっており、既存の建物や現況に捉われず、

対象の土地の最適な使用方法を想定した上で評価が行なわれています。

 

全国のほとんどの地価が下落しているなか、8年ぶりに前年比率を

押し上げたのが3大都市(東京・大阪・名古屋)圏と札幌・仙台・

広島・福岡の4政令からなる「地方中枢都市」です。

 

三大都市圏は商業地が2.9%、住宅地が0.5%と3年連続で上昇し、

地方中枢都市は3大都市圏より高い、商業地が5.7%、住宅地が2.3%

上昇しました。

 

地価上昇の主な要因として、「都心部でのオフィス賃料の上昇・空室率低下」

や「外国人観光客の増加に伴う店舗の収益性やホテル需要」などが挙げられて

いますが、この二つはマンション投資の観点からも注目すべき点だと言えます。

 

ここ数年、都心部から外れた郊外、地方にオフィスや営業所を構えていた

企業が都心に集まる「企業の都心回帰」が取りざたされていましたが、

まさにその現象が公示地価の数字に表れ、主要都市と地方との格差が拡大

していることが浮き彫りとなりました。

 

ここで一つ考えてみてください。

 

企業が集まってくることで商業地の地価は上がります。

企業が集まるということはそこに仕事、つまり雇用が生まれます。

 

人が集まるのであれば当然、その周辺に住み始めますので、その商業地への

アクセスが良い場所・駅の賃貸需要が高まることは容易に想像がつきます。

 

投資用物件を探す際、このような視点をもって公示地価(特に商業地)と

人口の推移を照らし合わせて見ると、物件選定時の有効な指標となります。

 

「外国人観光客の増加に伴う店舗の収益性やホテル需要」においては、

昨今、ホテル運営会社が精力的に都内の商業地の土地を高値で購入

しているという話を聞きます。

 

まさしくオリンピックを見据えての動きでしょう。

 

ホテルが購入しているような土地はワンルーム用地としても最適なので、

新築ワンルームのデベロッパーとも競合をしているようですが、

ことごとくホテル会社に持っていかれているようです。

 

このような事態が続けば、今後も都心好立地の新築ワンルームの流通が

減り、中古のワンルームマンションに投資家の注目が集まるでしょう。

 

いま以上に中古ワンルームマンションの値上がりが予想されます。

 

投資用物件の購入を検討するのであれば、そのエリアの地価だけではなく

そこから近い商業地の地価変動や不動産市況に注目することで先々の

動きが読み取れるかもしれません。

 

全国各地の公示地価は新聞やインターネットで確認できます。

 

不動産だけではく、様々な予想や市況情報が詰まっていますので、

是非、お時間がある際にご自身の目線で確認してみてください。

 

8年間下落し続けていた地価が上昇するのは、

不動産市況において大きな変化となります。

 

株式相場の世界では、 干支の 『申酉、騒ぐ』と言う格言がありますが、

今回の公示地価の上昇、マイナス金利や消費増税への駆け込みなど、

不動産市況が大きく動く可能性のある昨今においても当てはまるかもしれません。