マンション投資の注意点

2016-03-11

プラスだった収支がマイナス収支に!どうやって収支を改善する!?

先日、当社のお客様であるY様から、

ある相談を持ちかけられました。

 

『実は、他社から購入していた物件のひとつが、近々実施される

大規模修繕工事に備えて、修繕積立金が3,000円値上げされる予定です。

値上げされれば物件の収支が固定資産税を含めるとマイナス収支になって

しまいます。どうにかならないでしょうか?』

 

大事な資産を維持管理していくうえで、大規模修繕工事が

大切だということは理解されていましたが、マイナス収支

になるのは購入目的の本意ではないとのことでした。

 

早速、その物件の所有状況を確認し、

解決策をいくつか検討してみました。

 

まず、収支改善の一番手っ取り早い方法が、借りている金融機関へ

借入金の一部を返済する、繰り上げ返済です。

 

金融機関にもよりますが、繰り上げ返済をするためには

手数料が掛かる場合がほとんどです。

 

Y様の場合、150万円の繰り上げ返済金と3万円の手数料を用意

しなければ、マイナス収支を改善できないことがわかりました。

 

次に考えたのは、賃貸管理の変更です。

 

現在、Y様の物件はA社と言う会社との家賃保証契約を締結しているため、

それを通常の賃貸管理に変更することで、あまり資金を掛けずに収支の

改善が見込めます。

 

通常の家賃保証の場合は、所有者(貸主)と賃貸管理会社(借主)が

家賃保証契約(賃貸借契約)を締結し、実際に住まれる入居者(転借人)

と賃貸管理会社(転貸人)が転貸借契約を締結しているケースが多く、

所有者と賃貸管理会社とで結ばれている家賃保証契約の家賃よりも、

実際の入居者と賃貸管理会社とで結ばれている転貸借契約の家賃の方が

高いのが一般的です。

 

ということは、入居者が賃貸管理会社に支払っている家賃と

家賃保証契約の家賃の差額分が3,000円以上であれば、

収支の改善が可能です。

 

早速、Y様からA社に連絡を入れていただいたところ、

『現在、締結されている入居者との賃貸借契約の内容は開示できない』

『仮に家賃保証の契約を途中解約するのであれば、家賃保証の金額の

6ヶ月分のペナルティが必要になりますよ』という回答が返ってきました。

 

家賃保証契約書を確認したところ、契約書には確かにその旨が

しっかり記載されており、Y様が途中解約を申し入れるのであれば

その条文に従うしかありません。

 

家賃保証の月額が75,000円、

その6ヶ月分となると450,000円にもなります。

 

一時的な出費としては大き過ぎるうえ、支払うにしても現状の入居者と

A社との家賃が分からないとその出費をどのくらいの期間で回収できる

かが分かりませんので、その案も前に進める事ができませんでした。

 

そして最後に考えたのが、さらに追加で物件を購入し、

トータルでの収支をプラスにするという方策です。

 

Y様は「所有物件毎の収支をプラスで持ちたい」というお考えでしたが、

150万円の資金を使って繰り上げ返済を行うことや、家賃保証契約の解約で

大きな出費をするよりも、少ない資金で追加購入し、所有物件全体の収支

を改善する方法を選択されました。

 

Y様の希望に合うエリアと収支の出る物件をいくつかご紹介し、

毎月10,000円程の収支が出る物件をご購入いただくことで、

所有物件全体の収支の改善に成功しました。

 

今回、Y様の件で非常に違和感を覚えたのは、

Y様の物件を管理しているA社の家賃保証契約の内容です。

 

後日Y様に

「家賃保証制度の内容はどこまで理解をされていましたか?」

と聞いてみました。

 

Y様から返ってきた言葉は、

「30年間一定額の家賃を保証してくれる制度だと思っていました。」

 

もう一度A社との家賃保証契約書を見直してみると、

「○年後には家賃の見直しを行う」

こともしっかりと記載がされていました。

 

各賃貸管理会社が家賃保証という制度を取り入れていますが

契約内容は会社ごとに異なります。

 

家賃保証制度自体は悪い制度ではありませんし、はじめて不動産投資

をされる投資家が、賃貸は付くのか?と不安に思うことは当たり前

だとも思います。

 

その不安を取り除いてくれるのが家賃保証制度です。

 

しかしその契約内容は、購入時(賃貸管理会社の選定時)にしっかりと

理解しておかなければ、今回のような事態が起きてしまいます。

 

A社と結ばれている家賃保証契約書の内容のままでは、

先々売却を考えた際の足かせにもなりかねません。

 

物件選定も非常に大事なことだと思いますが、賃貸管理会社の選定や

賃貸管理会社と結ぶ契約内容を十分に理解したうえで契約してください。

 

それを怠ると、リスクを回避するはずが、さらなるリスクを

招く可能性がありますので、注意が必要です。