賃貸管理の話
2016-04-14
閑散期に退去されたら?!マンションオーナーが知っておくべき空室対策
新年度がスタートして約2週間が経ちました。
新たな生活をスタートさせた方も、
多くいらっしゃるのではないでしょうか。
社会人であれば部署の異動や転勤、はたまた転職。
学生であれば楽しいキャンパスライフの始まりです。
そんな4月を迎えるまでに、目の回るような忙しさに
見舞われるのが賃貸管理会社です。
当社のグループ会社で賃貸管理会社のシイ・アイ・シーも、
御多分に漏れずの大忙しでしたが、繁忙期を終えた今は
落着きを取り戻しつつあります。
賃貸業には主に「繁忙期」と「閑散期」があり、
一般的には1~3月が繁忙期、ゴールデンウィーク明けから
8月末と10月~11月中旬が閑散期と言われています。
「空室対策」という視点でこの時期を切り分けると、
それぞれの時期に合わせた空室対策が必要となります。
前述のとおり、繁忙期は入退去が一番多い時期です。
賃貸人が退室してしまったとしても、部屋探しをしている人は
多くいます。所有している部屋の条件が、その周辺で賃貸募集
をかけている部屋の条件より劣っていない限り、比較的簡単に
次の入居者が決まるでしょう。
ここでアットホーム(株)のトレンド調査、
「30歳未満の学生・社会人の部屋探しの徹底調査(2016年2月22日)」
を参考に、賃貸付けについて考えてみます。
「家賃以外でお部屋探しの際に最初から最後まで変わらずに重視したことは?」
学 生 :1位 通勤・通学時間 2位 間取り
社会人 :1位 間取り・広さ 2位 通勤・通学時間
「お部屋探しの際に最初から最後まで変わらずに重視した設備は?」
学 生 :1位 独立したバス・トイレ 2位 フローリング
社会人 :1位 独立したバス・トイレ 2位 フローリング
「お部屋探しを始めてから契約までにかかった日数は?」
学 生 :1位 一日 2位 二週間くらい
社会人 :1位 一ヵ月くらい 2位 二週間くらい
調査結果の全てを記載することはできませんが、この3項目から、
部屋探しをしている人の需要とある程度マッチしていれば、
一ヵ月程で次の入居者を決める事ができるのではないでしょうか。
また、賃貸住宅新聞社が毎年発表している、
「この設備があれば家賃が高くても入居が決まるランキング」
というランキングがあります。
浴室換気乾燥機やTVモニター付インターホン、システムキッチン
宅配BOXなどがランクインしていますので参考にしてみてください。
問題は閑散期です。
読んで字のごとく、部屋探しをしている人が圧倒的に少ない時期
ですので、空室期間が長期化する恐れがあります。
運よく次の入居者がすぐに決まれば問題ありませんが、
募集を始める前から「需要が少ない」と見通せるのであれば、
対策を講じたうえで賃貸募集を始め、1日でも早く次の
入居者を見つけるように努めるのが得策です。
「とりあえずいまの入居者と同じ家賃で募集してみよう」
これは禁物です。
この時期に一日でも早く賃貸を付けるには、「賃料・賃貸条件の見直し」
「広告料(バック)の設定」「リノベーション」の3つが得策です。
○賃料・賃貸条件の見直し
繁忙期の退去であれば少し強気の賃料でも賃貸が付くかもしれません。
しかし、閑散期に退去した場合や同一物件で複数の部屋が募集をかけて
いる場合には、募集条件の見直しが空室期間の長期化を防ぐ手立てとなります。
同一物件で募集している部屋がある場合は、
その部屋の賃料を確認してください。
閑散期に合わせて賃料を下げている可能性がありますので、
その部屋よりも自分が所有している部屋の賃料が高ければ、
その部屋に申込が入るまで空室が続くかもしれません。
その部屋の申し込みが入るまで1ヵ月かかったとしたら、
自分の部屋は倍の2ヵ月かかるかもしれません。
当然、その間の家賃収入はゼロです。
閑散期は同物件での募集状況や周辺での類似物件などの募集状況を
見ながら募集家賃を検討してください。
状況によっては礼金カットなども視野に入れて
見直しをしてみるのもいいでしょう。
○広告料(バック)の設定
「広告料」と聞くと「賃貸を付ける際に別途費用を支払うの?」
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
賃貸を募集する際に敷金と礼金を設定しますが、その礼金部分を
「広告料」として入居者を見つけて来た賃貸業者(客付業者)に
「広告料」という名目で支払う(バック)ことを言います。
この広告料は、仲介手数料とは別に仲介会社の売り上げになりますので
(手数料ですが、名目上は広告料)、仲介会社はこの広告料が設定され
ている物件を積極的に紹介してくれます。
利益が仲介手数料のみの部屋と、広告料として礼金も取れる部屋、
どちらの部屋に力を入れるかは一目瞭然です。
広告料を設定していなければ、広告料が設定されている
部屋が必然的に優先して紹介されていきます。
○リノベーション
部屋の設備仕様によりますが、所有している部屋の設備がトレンド
から外れているような部屋であれば、リノベーションが大きな効果
を発揮します。
ただリノベーションと言っても匠が作るような奇をてらったものではなく、
バス・トイレ一緒の3点ユニットを2点ユニットに交換したり、
浴室に換気扇しか無い部屋であれば浴室乾燥機を設置するのも
良いでしょう。また、キッチン周りなどを新しい物に交換するなど、
現状のニーズに即した改修を行うのはとても有効です。
以上の3つを実践するのであれば、優先順位は
①賃料・賃貸条件の見直し ②広告料(バックの設定) ③リノベーション
と考えておいてください。
但し、アンケート結果にもあるように「部屋探しの際に最初から最後まで
重視した設備」で学生、社会人ともにバス・トイレ別が1位にランクイン
していますので、所有している部屋が3点ユニットであれば、
リノベーションを最優先するべきかもしれません。
繁忙期には繁忙期の、閑散期には閑散期の空室対策があり、
所有している部屋の条件によっても対策方法は異なります。
空室が出たとしても慌てずに、
その時期に合った対策を講じて下さい。