不動産市況

2014-11-07

価格上昇が叫ばれる不動産市場。 最新の中古ワンルームマンション市況は?

東京オリンピックの開催が決定して以来、毎月のように不動産価格

の上昇が伝えられていますが、みなさまはその価格上昇のニュース

をどのように捉えていますか?

 

不動産業に従事している私たちはと言うと、その価格上昇を肌で感じ、

どこまで価格は上昇するのか?と日々その動向を見守っています。

 

そこで今回は、中古ワンルームマンション市場がどのような状況なのかを、

レインズの成約データをもとに具体的にみていきたいと思います。

 

下記の条件で成約事例を検索してみました。

検索範囲:東京23区

専有面積:20㎡~30㎡

築年数:指定なし

成約登録:平成26年1月1日~平成26年11月7日

以上の内容で検索した結果55件の成約が登録されていました。

 

ワンルームマンションの中で最も高い値で取引された物件は

○銀座1丁目駅徒歩3分

○25.82㎡

○平成18年築

 

そのお値段なんと!6,190万円!!!

さすがの私たちも目を剥きました。

 

しかし、取引額上位25件はこの物件の各部屋で占められており、取引形態が

売主なうえなぜ同じ物件の各部屋が同時に売りに出されたのか、なぜそのよう

な高額な取引となったのかについては、あまりにも情報が乏しいため今回は

26位以降から50位までの売買について考察していきたいと思います。

 

26位

○赤羽橋駅徒歩4分

○25.16㎡

○平成26年築

 

そのお値段、ワンルームにして4,000万円!

高いですね。

 

この高額な価格を聞いて気になるのはやはり利回りです。

 

登録されている情報が少ないため正確な数字とは言えませんが、成約価格の

4,000万円から利回りを計算してみると、表面利回り4%を取るには133,333円

の家賃が必要となりますので、管理費や修繕積立金を引いた実質利回りはさらに

低くなります。

 

投資をするうえで非常にシビアな数字です。

 

27位~33位までは、3,700万円~3,000万円の価格で取引されており、

エリアとしては渋谷と銀座が大半を占め、その他のエリアとして食い

込んできているのは「白金高輪」と「品川」の2駅のみでした。

 

以降の順位は、銀座・麻布・白金・六本木と同じようなエリアが続き、

それ以外の駅が入ってくるのは下記2駅のみです。

46位 「日本橋」駅  成約価格2,630万円

49位 「武蔵小山」駅 成約価格2,600万円

 

ほとんどの物件が表面利回りで4.5~5.5%といったところでしょうか。

 

さらにこれらの事例は、取引形態が「仲介」である場合がほとんどでしたので、

物件価格とは別に仲介手数料も掛かり利回りはさらに低下します。

 

以上50位までの事例をご紹介しましたが、高額での成約は中央区(銀座周辺)

や渋谷区(渋谷駅周辺)、港区(六本木&麻布周辺)といった元々の取引価格が

比較的高いエリアが中心となっており、23区内全ての価格が上昇していると

いう状況は伺えません。

 

では次に下記条件の事例を見てみます。

検索範囲:東京23区

専有面性:20㎡~30㎡

成約価格:2,000万円以下

築年数:平成20年以降

 

該当物件

○「赤塚」駅  徒歩10分(21.63㎡・平成20年築) 1,250万円

○「北池袋」駅 徒歩10分(21.00㎡・平成25年築) 1,300万円

○「鐘ヶ淵」駅 徒歩8 分(22.76㎡・平成21年築) 1,350万円

 

不動産経済研究所が発表している1棟あたりの平均専有面積が30㎡以下

の投資物件価格データによると、平成21年に首都圏で販売された新築ワン

ルームマンションの平均価格は2,323万円、平成25年の平均価格は2,538万円

と場所によっては築年数が経過していない物件でも新築価格からは相当な

下落をしている物件やエリアがあるのが伺えます。

 

昨今では建築費(建材や人件費)の上昇により、新築物件の値上がりが全域に

及んでいますが、中古物件に関しては全域での値上がりというよりは、目先の

利益である高利回り重視ではなく、低利回りでも安定した収入が取れるエリア

がより重視され一部のエリアの値上がりが進んでいるのかもしれません。

 

東京オリンピックまであと5年9ヵ月。

この先、エリアは拡大して行くのでしょうか?

今後の動向に注目です。