不動産市況
2015-11-27
今年1年の成約データからみる不動産市況のいま
昨年11月発行号のコラムにて、「価格上昇が止まらない!」
と連日のように言われていた不動産市況について、
「具体的にどのくらい価格が上昇しているのか?」と、
平成26年に取引された中古ワンルームマンションの成約価格を
参考に検証してみました。
それから約1年がたったいま、不動産市況はどうなっているのでしょうか。
今年もレインズの成約データをもとに、具体的にみていきたいと思います。
検索条件は昨年と同じ条件で検索してみました。
○検索条件
検索範囲:東京23区
専有面積:20㎡~30㎡
築年数:指定なし
成約登録:平成27年1月1日~平成27年11月19日
以上の条件で検索した結果、500件以上の登録があったため、
成約価格を2,000万円以上で再度検索したところ、302件の
登録がありました。
その中で最も高値で取引された物件は
○銀座1丁目駅 徒歩3分
○28.77㎡
その価格、、、5400万円!
坪単価、620万円以上という数字になりました。
ただ、築年数などの情報が一切記載されておらず、且つ、2位の物件と
同じ建物で同じ売主のため、参考程度に見た方がよさそうです。
3位に
○恵比寿駅 徒歩5分
○29.89㎡
○平成12年築
成約価格3,700万円
4位に
○白金高輪駅 徒歩4分
○25.30㎡
○平成21年築
成約価格3,500万円
恵比寿の物件は空室での取引だったため利回りは分かりませんが、
白金高輪の物件はオーナーチェンジとなり、取引当時、
賃料133,700円で表面利回り4.58%、管理費:14,470円・
修繕積立金:2530円・駐輪場代:200円を引いた実質利回りで3.99%
と4%を切る価格で取引されています。
以降24位までが3,000万円以上での取引で、港区・中央区・千代田区の
都心3区プラス渋谷区・新宿区の都心5区がほとんど。
その他のエリアでは、代官山が最寄りの目黒区が唯一ランクインを果たしています。
では次に、下記の条件で事例を見てみます。
検索範囲:東京23区
専有面積:20㎡~30㎡
成約価格:2000万円以下
築年数:平成元年以前
○青山一丁目駅 徒歩2分
○27.00㎡
○昭和55年築
そのお値段、なんと、2500万円!
さらに、
○六本木1丁目駅 徒歩3分
○30.00㎡
○昭和55年築
こちらのお値段、2790万円!
いずれも坪単価で300万円超。
いま時の築浅物件となんら遜色のない価格で取引が成立しています。
「古くなる=安くなる」というわけではないのが
この取引上で見て取れます。
では、下記の条件ではどうでしょか。
検索範囲:東京23区
専有面積:20㎡~30㎡
成約価格:2000万円以下
築年数:平成20年以降
該当は51件で
○上板橋駅 徒歩4分 20.03㎡ 平成20年築 1階 1280万円
○武蔵関駅 徒歩4分 20.62㎡ 平成20年築 5階 1380万円
○綾瀬駅 徒歩7分 22.44㎡ 平成20年築 5階 1400万円
など、城北や城東と分類されるエリアの物件がほとんどになります。
東京オリンピックの開催が決まって以降、不動産価格が上がっている
とは言え、全ての物件価格が上がっているわけではありません。
昨今では建築費(建材や人件費)の上昇により、新築物件の値上がりが全域に
及んでいますが、中古物件に関しては全域での値上がりというよりは、目先の
利益である高利回り重視ではなく、低利回りでも安定した収入が取れるエリア
がより重視され、一部のエリアに限って価格の上昇が進んでいるのかもしれません。
東京オリンピックまであと5年9ヶ月。
この先、価格上昇エリアは拡大して行くのでしょうか。
今後の動向に注目です。