不動産の基礎知識

2009-09-25

『不動産の取引態様について』

不動産の取引には、大きく分けると3通りの取引態様があるのはご存知でしょ

うか?

 

一つは、不動産会社を通して『媒介(ばいかい)』(または『仲介』、以下『仲

介』を使います)という方法でマンションを購入する方法です。

 

もう一つは不動産会社が所有している物件を直接その不動産会社から購入する

方法で、『売主(うりぬし)』と言われるもの、そして最後の一つは『代理』と

言う方法で、こちらは不動産会社が売り手から代理権を得て販売をしている物

件を購入する方法になります。

(ただ、この『代理』という取引形態は、あまり中古の取引では登場しません

ので省略させていただきます。)

 

まず、『仲介』という手法を利用して購入する場合ですが、大前提としまして、

この場合は不動産会社が保有している物件をお客様が購入するわけではありま

せん。

物件の所有者、つまり売却希望者は不動産会社の向こう側に存在します。

『仲介』の場合の不動産会社の仕事は、あくまでも、購入希望者と売却希望者

の間に立って契約成立の仲立ちをすることです。

この方法では、購入希望者は広い選択肢を持つことができますが、逆に選択に

迷ってしまったり、絞り込みに手間がかかり過ぎたりしがちです。

したがって、そのようなことが無いように、不動産会社はエリア、予算などの

希望条件をお伺いした上で、候補物件の抽出をサポートします。

 

また、『仲介』の場合はご成約頂いた際には、不動産会社に仲介手数料を支払

わなければなりません。

仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税が上限となっており、ローンで

購入の場合でも、この仲介手数料分は別途現金でお支払いいただかなければい

けませんので、初期費用における現金支出を抑えたい方には向いていないです

ね。

 

一方、もう一つの『売主』と言われる方法ですが、これは不動産会社が所有の

物件を直接お客様が購入する方法で、契約の相手方はその不動産会社自身にな

ります。

こちらの場合は、不動産会社が既に保有している物件の中から選ぶ訳なので、

選択肢は狭くはなりますが、不動産会社が売れると判断して仕入れた物件であ

ると言えます。

 

価格面でも、それぞれ違うオーナーが個別に売却希望価格を提示してくる『仲

介』に比べ、プロである不動産会社が相場の実勢価格にあった提示をしている

ことが多いと思います。

不動産会社が売り手になっていると言う事は、ほとんどの場合、当然いくらか

の利幅は乗っていると思われますが(事情があって赤字で放出しているケース

もありますが)、そのかわり仲介手数料は一切かかりませんので、初期費用の

現金部分は少なくて済みます。

 

両者の基本的な違いは以上なのですが、実はこれ以外でも大きな違いがありま

す。

 

それは売主物件の売買であれば瑕疵担保責任*1が付くと言う事になります。

売り手が不動産業者の場合は、引渡しから最低2年間、または発見から1年間

は瑕疵担保の責を負うことになり、それを免除するとか、期間を短くするとい

った、買い手であるお客様に不利な特約は無効とされます。

 

仲介物件の売買の場合、売り手が一般の方(宅建業者以外)であれば瑕疵担保

責任は付けなくても良いことになっています。(しかし最近は2~3カ月の短期

間を特約で付けるケースが多いですが)。

つまり、売り手が一般の方であれば瑕疵に関する責任追及は酷であるが、プロ

であれば当然その責任を負うべきだというわけです。

 

それでも仲介物件の方が安く購入できるようなイメージがあり、売主物件は不

動産会社が大きな利益を乗せているイメージがあるのではないでしょうか?

 

そもそも仲介物件の多くは、一般(宅建業者以外)の方が、ご自身の目標売却

価格やローン残高といった、その方の事情により価格設定をしている事が多く、

必ずしも適正な価格と言えないケースも散見されます。

 

逆に売主物件と言うのは、プロが提示しているわけで、そもそも相場から大き

くかけ離れるような価格では売り出しません。

ましてや、借り手が付きづらい、あるいは管理が異常に悪いといったリスクの

高い物件であれば、業者が自己で買い取って保有しているはずはありません。

ある意味、購入者側に立った目線で物件を紹介していると言えると思います。

少なくとも当社はそのような考え方で取り組んでいます。

 

物件のチラシには、販売形態が『仲介』であるかまたは『売主』であるかの記

載は必ずあります。

もし、今まであまり注目していなかったということであれば、ぜひ確認するよ

うにしてください。

その短い言葉は、仲介手数料が別途必要なのか、瑕疵担保責任が付いているの

か、といった重要な情報を発信しています。

 

中古のマンションを購入する際には、必要な予備知識だと思います。

 

*1不動産売買などの契約で、契約の目的物に隠れた欠陥があった場合、売主

などが負う責任。