不動産の基礎知識

2009-09-11

『測定不能!?新タワーが与える影響』

賃貸需要の高いエリア=城南・城西エリア

不動産業界では常識ですし、皆様の中でも投資マンションをこのエリアで探し

ている方が多いのではないでしょうか?

 

東京に住んでいる20代、30代の独身男女に『あなたが住みたい街は?』と質

問したら、おそらく8割9割の人が城南・城西エリアの街を選ぶでしょう。

実際にWalkerplusの住みたい街ランキング【東京編】では、ベスト40にラン

クインしている街のほとんどが城南・城西エリアに属しています。

 

一方、そうなるとさびしいのが城北・城東エリアですが、

今、城東エリアで大規模な再開発が行なわれているのをご存じでしょうか?

 

それは、『東京スカイツリー』

2012年春に開業予定の東京都墨田区押上に建設中の電波塔です。

 

地上アナログテレビ放送が終了するのに備え、2008年7月に着工された高層タ

ワーで、竣工時には世界一の高さになる約610mを予定しています。

 

この東京スカイツリーが東京の新観光名所になることは間違いないですが、こ

の新観光名所の目玉はタワーだけではなく、足元には、押上駅と業平橋駅をつ

なぐ東西長さ約400m、広さ約3.69haにおよぶ『タワーのある街』が生まれ、

その街には商業、エンターテイメント、文化、オフィス施設など周辺エリアと

連携した賑わいのある街づくりが計画されています。

 

2006年5月に第一生命経済研究所が出した予測によると、開業から1年で経済

効果を473億円と試算しており、また、2008年1月公表の墨田区「新タワーに

よる地域活性化等調査報告書」では、東京スカイツリーへの来場者を年間552.

4万人、東京スカイツリーに併設される商業施設等を含めた開発街区全体での

来場者数を年間2,907.9万人と試算しています。

 

すでにその影響は墨田区の人口に表れており、タワーから3km圏内エリアの人

口は約48万人にのぼり、加えて墨田区の人口増加率は東京23区全体のそれを

上回る数値を示しています。

この数値が今後ますます増加することは容易に予測できます。

 

また、東京スカイツリーの公式HPの基本理念の筆頭には、

「浅草や錦糸町、両国などの広域集客拠点に隣接し、交通利便性に恵まれた立

地ポテンシャルを生かし、世界一の観光タワーを中核とした大規模複合開発に

より、地域とともに東東京エリアの新たな交流、観光、産業拠点を形成し、地

域社会の活性化を牽引するとともに、国際観光都市東京の実現に貢献します。」

と書かれています。

 

東京スカイツリーが出現する押上駅の人気が上がる(需要が上がる)のはもち

ろんのこと、押上駅に南側で隣接する地域で、特に複数路線が利用できる「錦

糸町、浅草、両国、蔵前」などの駅も東京スカイツリー再開発の恩恵を受け、

賃貸需要が増加していくと大いに予測できます。

もしかするとキャピタルゲインさえも狙えるエリアになるかもしれません。

 

さらに、この東京スカイツリーを中心とした再開発には他の再開発とは決定的

に違う特徴があります。

 

ここ数年の再開発によって建設された商業施設には、六本木ヒルズ、東京ミッ

ドタウン、表参道ヒルズ、新丸ビルなど数多くの人気スポットがありますが、

これらが存在する六本木、渋谷、東京駅周辺などはそもそも人気が高く、すで

に成熟した街だということです。

 

それに比べて押上駅周辺は(最近では浅草の人気は上がっているようですが)、

先に挙げた住みたい街ランキングに入ってくるエリアではないですし、駅前に

商業施設が少ないため若者が集まってくるようなスポットでもありません。

 

ここに「測定不能」という言葉を使用した理由があります。

東京スカイツリーができることによる押上駅周辺の人気上昇の振り幅は、六本

木や渋谷や東京駅周辺などの再開発とは比較にならないほど大きなものになる

と思います。

 

過去10年を見ても、今後10年先を見渡してもこれほど劇的に変わった、また

変わる可能性のある再開発というのは類を見ないのではないでしょうか。

 

不動産投資は将来への投資です。

10年、20年、30年先を見越して賃貸需要が続くであろうと予測できる場所に

投資するのが成功する秘訣です。

さらには東京スカイツリーを中心としたエリアのように、今より需要が上がる

であろうと予測できる場所であれば、なお安心して投資できるのではないでし

ょうか。

 

東京スカイツリーの開業が近づくにつれて、周辺の街がどのように変化してい

くのか、現在の「城南・城西エリア強し」の状況に城東エリアがどのように喰

い込んでいくのか、賃貸需要はどのくらい上がっていくのか、不動産業者です

ら全く予測のつかない「測定不能」の再開発から目が離せません。