不動産市況
2017-04-07
都市圏と地方圏の2極化が進行!?2017年の公示地価が公表されました
3月21日、国土交通省より2017年1月1日時点の
全国の公示地価が公表されました。
全国平均(全用途)は、前年比0.4%のプラスで、
2年連続の上昇となり、商業地も訪日外国人の増加を
背景に、2年連続で上昇しました。
住宅地も住宅ローン減税などの施策が下支えし、
9年ぶりに下落を脱して横ばいに転じました。
対象地点の数は前年から730地点増えて26,000地点
(うち235地点が選定替え)となっており、
原発事故による避難指示区域内の12地点については、
引き続き調査が休止されています。
東京都の地点数は2,531地点(平成27年より369地点増加)、
用途区分ごとの地点数は、住宅地1,673地点、商業地823地点、
工業地35地点となっています。
※公示地価とは、「地価公示法」に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会
が毎年1回公示する、1月1日時点における標準地の価格で、
公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、
一般の土地取引価格に対する指標となることを目的としています。
「東京圏」「大阪圏」「名古屋圏」「地方圏」それぞれの
上昇率を、より詳しくみてみましょう。
※東京圏 :東京都区部全域と多摩地区、神奈川県の一部、
千葉県の一部、埼玉県の一部、茨城県の一部
※大阪圏 :大阪府全域と兵庫県の一部、京都府の一部、奈良県の一部
※名古屋圏:愛知県の一部と三重県の一部
【東京圏】
商業地は3.1%の上昇、住宅地は0.7%の上昇となりました。
東京都は全域で見た場合、住宅地・商業地・工業地のそれぞれで
対前年平均変動率が4年連続でプラスとなり、これら全用途平均
でも変動率が4年連続のプラスとなりました。
特に商業地は上昇率4.7%で、都道府県別で最高の上昇率となった
大阪(上昇率5.0%)に次ぐ2位となり、住宅地も前年対比で上昇率
がプラスと、引き続き堅調な状況です。
東京23区内は、全ての区で上昇しており、
うち10区は5%を上回りました。
なかでも中央区は9.8%と大幅に上昇。次いで渋谷区の8.7%、
千代田区の7.1%が上位を占めています。
住宅地の上昇率は1.9%で、
昨年の上昇率1.6%から0.3ポイント改善。
東京23区は昨年の2.8%から0.2ポイント改善され、
3.0%の上昇となり、変動率が4年連続でプラスとなりました。
上昇率が最も高かったのは、千代田区の7.5%で、
次いで中央区の6.2%、港区の5.2%となっています。
堅調な推移の要因として、用地取得競争と住宅取得意欲
の二つが挙げられます。
低金利を背景に都心部の高額マンションは、投資家や富裕層を
中心に引き続き需要が強く、良質なマンション素地の希少性から、
デベロッパーによる用地取得競争が激しくなっています。
また、住宅ローン減税や贈与税の非課税措置などの制度・政策に
よる支援効果で、実需層の住宅取得意欲も根強くあります。
【大阪圏】
商業地は4.1%上がり、4年連続で上昇。
大阪府は5.0%上がり、2年連続で全国首位となりました。
一方、住宅地は横ばいでした。
商業地の上昇要因は、外国人客の急増で大阪市中心部の
ホテルなどの出店が増えたことが挙げられます。
【名古屋圏】
商業地の上昇率は2.5%、住宅地は0.6%で、ともに前年よりも
0.2ポイントずつ上昇率が縮小したものの、名古屋駅西側の再開発
やリニア中央新幹線の開業を控え、今後とも上昇の動きが続きそうな模様です。
【地方圏】
商業地は0.1%の下落、住宅地は0.4%の下落と、下落率は
前年比改善したが、ともに25年連続のマイナスでした。
東京圏、大阪圏、名古屋圏等の人口集中地域が堅調に推移しているのに比べ、
過疎化や空洞化が進む地方圏では、下落傾向に歯止めがかからず、全国的に
見ると2極化が進行している状況と言えるのではないでしょうか。
<2017年公示地価の変動率> ( )内は2016年
住宅地 商業地
全国平均 0.0%(▲0.2%) 1.4%( 0.9%)
東京圏 0.7%( 0.6%) 3.1%( 2.7%)
大阪圏 0.0%( 0.1%) 4.1%( 3.3%)
名古屋圏 0.6%( 0.8%) 2.5%( 2.7%)
地方圏 ▲0.4%(▲0.7%) ▲0.1%(▲0.5%)
東京圏は、前述した用地取得競争や住宅取得意欲に加え、
オリンピックやリニア中央新幹線開通を控え、
今後とも堅調に推移する見込みが高いと言えます。
マンション投資に限らずアパート経営をするにしても、
公示地価の動きから、東京都心部の好立地な物件への投資が、
安心・安全な運用を可能にするのではないでしょうか。
2017/4/21
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