不動産の基礎知識

2010-11-05

『日本がつくる、日本だからできる超都市文明!』

最近の日本経済に関する本は暗い内容や悲観的な予測が多い中、ちょっと元気

が出るものでしたので、今日は先日読んだ某若手エコノミストの本について書

かせていただきます。

 

著者は現在が厳しい環境であることは認識していますが、そのうえで国、企業、

個人の3主体全員が調子の悪い時は、やはり最初のひとこぎは国がやれ、つま

り公共投資を拡大せよという主張をしています。

なんだか古臭い話に聞こえますが、このあとが夢のある話になっていきます。

 

それは、どうせやるなら世界中の人々が憧れるほどの超都市文明をつくってし

まおうという話です。

 

住み慣れた人は気がつかないかもしれませんが、現在でも東京や大阪といった

日本の大都市での生活は、世界中で最も贅沢なものです。

学校、病院、スーパーマーケット、美味しいパン屋にワインセラー、行列のラ

ーメン屋、本屋に便利な百円ショップなどなどが徒歩圏内、数十分の異動でP

Cパーツはすべて手に入り、映画館も何件もある、といった暮らしです。

 

著者はさらに、人口を都市へ集中させようと言います。

それにより、例えば医療や介護のサービス供給能力は格段に高まります。

さらに都市圏での「徒歩スタイル」の暮らしは高齢ドライバーの事故減少につ

ながり、日々の適度な運動と新鮮な食材の購入は、高齢者の健康に貢献します。

それは郊外型の大型スーパーで一週間分の食糧をまとめ買いして、大型冷蔵庫

に放り込み、都度解凍しながら食べるよりも遥かに贅沢です。

 

人口集中は流通コストの低減につながりますし、サービス業の発展を促します。

その他、多くのメリットがあります。

 

この考えは欧州発祥の「コンパクトシティ」というコンセプトと似ていますが、

コンパクトシティ構想が、人口減少エリアの中で、せめて中心市街地に濃縮さ

せて活気を取り戻そう、というやや縮み志向であるのに対し、著者の主張は明

るく大胆です。

 

そういった中で、まずは東京という最先端のモデルに磨きをかけていこうとい

う訳です。

具体的には、東京圏の人口集中を実現した公共交通インフラと犯罪率の低さを

活かしていこうというものです。

 

犯罪に関しては、東京の雑然とした環境が防止に貢献していると言います。

自由な雑然さが、いつでも誰かが見ている環境を作り出しているとしています。

あまり整然と機能分けしてしまうと、一見美しいが夜や休日は誰もいないゾー

ンが出来てしまいますが、東京はそうなっていないのです。

 

従って、街の細部はこれまで通り民間の自由な動きにまかせ、その分国の方は

インフラに投資をせよ、としています。

 

そのインフラの一つがリニアモーター技術です。

これも今や民間企業であるJR任せにしないで、国が中心になって促進すべき

との主張です。

 

リニアが実現すれば、大阪・名古屋は20分圏内であり一つの経済圏です。金

融や鉄の大阪とメーカーの名古屋が一体となり、東京の対抗エリアとなります。

もちろん、東京と大阪・名古屋圏も40分程度の好アクセスになります。

 

こうして、超高度化された東京及び同様のコンセプトでできた小東京ともいえ

る全国拠点都市をリニア&新幹線ネットワークが数時間圏内でつなぐ。

 

地方空港は不要になる分、空いた空の枠は国際線を充実させる。

成田か羽田かではなく、リニアで10分圏内になった成田&羽田は一体となり、

海外からの受入窓口としての機能を飛躍させる。

 

日本の基幹産業である自動車が斜陽になるかと言えば逆で、ガソリン自動車か

ら電気自動車へ全面リプレイスを推進することで7,900万台の巨大ビジネ

スになる(地デジのような期限設定をすれば日本であれば必ず推進出来る!)。

 

さらに高度道路交通システムにより光ファイバーと通信チップが埋め込まれた

道路を電気自動車が“会話しながら”走ることにより「交通事故ゼロ社会」を

実現する。

 

この実現には、一流の自動車メーカー、半導体・家電メーカー、情報通信技術

などが不可欠だが、日本には全てがある。しかも世界最高水準で。

 

また、“脱石油”の実現は国際紛争や環境問題上も意義が大きい、世界最高峰

の原子力発電技術もある・・・

 

といった具合で、まだまだ元気いっぱいの話が続きます。

 

もちろん反論や矛盾点もたくさんあるとは思いますが、私にとってはマイナス

指向の評論家やマスコミの意見より、多くの刺激を得ることが出来ました。

 

そして私たちが皆様にご提言している“都市部で大家さんになる”というアイ

デアは、未来に向けても有効そうだと自画自賛した次第でございます。

皆様はいかがでしょうか?