不動産の基礎知識
2010-10-29
『不動産の豆知識 ~住宅瑕疵担保履行法~』
今日は、「住宅瑕疵担保履行法」について紹介します。
「住宅瑕疵担保履行法」とは、新築住宅を供給する事業者に対して瑕疵(欠陥)
の補修等が確実に行われるよう、保険や供託を義務付ける法律です。
事業者に義務付けられている保険とは、新築住宅に瑕疵があった場合に、補修
等を行った事業者に保険金が支払われる制度です。
保険への加入にあたっては、住宅の工事中に検査が行われます。
一方の供託とは、事業者が倒産した場合に備えて、事業者が法律で定められた
額の保証金(現金等)をあらかじめ法務局などの供託所に預けておく制度です。
事業者が補修等を行えない場合、新築住宅を取得した人は供託所に対して瑕疵
の補修等に必要な金額について、保証金からの還付を請求することができます。
新築住宅においては、もともと2000年から施行されている「住宅品質確保
法」(新築住宅の取得契約において、事業者が基本構造部分について10年間
の瑕疵担保責任※を負う、という法律)がありますが、さらに「住宅瑕疵担保
履行法」が制定された背景には、2005年に起きた「構造計算書偽装事件」
があります。
※瑕疵担保責任とは…契約の目的物に瑕疵があった場合に、これを補修したり、
瑕疵によって生じた損害を賠償したりする責任。
この事件は記憶にある方が多いと思いますが、1級建築士が構造計算書を改ざ
んし、耐震強度が不足したマンションや物件が建築され、その強度不足を知り
ながら販売したとして、マンション業社の社長らの刑事責任が問われた、とい
う事件です。1級建築士の名前から、姉歯事件とも言われています。
その結果売主である事業者が倒産してしまい、瑕疵担保責任を履行することが
できず、住民は住宅ローンの上に建て替え・大規模改修費用も負担しなければ
ならなくなってしまいました。
こういった経緯を受け、消費者の生活を保護するために、2007年に「住宅
瑕疵担保履行法」が制定されました。
施行は2009年10月1日からで、10月1日以降に引き渡される新築住宅
を適用対象としています。
ちなみに「住宅瑕疵担保履行法」は、今月の17日に行われた宅地建物取引主
任者試験に出題されました。
宅建の試験は法改正があった箇所を問題に出す傾向がありますので、もし来年
受験される方がいらっしゃれば、試験の前に法改正部分をチェックしてみてく
ださい。