賃貸管理の話
2016-09-20
トラブル防止策となるか!?家賃保証減額リスクの説明が義務化!
昨日9月1日、賃貸住宅管理業者登録制度の規定と
業務処理準則が改正され、貸主への重要事項説明が
実務経験6年以上または賃貸不動産経営管理士の資格者
のみとなり、サブリースの家賃保証減額リスクの説明が
義務化されました。
但し、実務経験者の設置と重要事項説明に関する規定は、
2018年6月30日まで経過措置が設けられています。
サブリース契約におけるトラブルが後を絶たない現状から、
国土交通省は今回の義務化を決めましたが、その対象は
賃貸住宅管理業者登録制度に登録している3,735社で、
全国約3万2千社ある賃貸管理会社の約1割です。
弊社のグループ会社であり賃貸管理会社のシイ・アイ・シー
も賃貸住宅管理業者登録制度に登録しています。
恐らく今回の法改正を皮切りに、トラブル防止策と
なるような法改正をどんどん行っていくのではないか
と考えられます。
そこで今回は注意喚起を含め、改めてサブリースの
家賃減額リスクについてお伝えいたします。
※下記コラムも併せてお読み頂けると、サブリースについて
の理解をより深めて頂けると思いますので、是非ご一読ください。
「その契約ちょっと待った!~サブリース契約の甘い罠~」
http://www.rebax.co.jp/2014/10/a-24/
まずこの保証サービスは通常、「サブリース」や「家賃保証」と
言われ、土地の所有者が建てたアパート・マンションや不動産会社
が販売する一棟ものや区分マンションなどを業者が一括で借上げ、
入居者の有無に関わらず一定の額を毎月所有者に支払うサービスです。
一見すると非常に優れた保証サービスですが、
「全室一括借上」「長期家賃保証」などの保証内容について、
安定した家賃収入を長期に渡って保証するかのように謳い、
数年後に保証家賃の減額をするなどのトラブルが後を絶ちません。
このトラブルに特に見舞われやすいのが、不動産会社の営業マン
から声を掛けられ、受動的に不動産投資をスタートさせてしまった方です。
実はサブリースシステムの契約書には、「保証家賃の減額」に
関する条文が必ずと言って良い程記載されています。
記載はされていますが、それを説明する義務がない。
それがこのサブリース契約の問題点です。
不動産の取引において不動産業者は、取引に関する様々なリスク
の説明を義務付けられていますが、サブリース契約については
その限りではありませんでした。
なぜなら、所有者が個人であったとしても、その不動産を所有
する大家さんであり、その不動産を貸し出して家賃収入を得る
不動産事業者と見なされているからです。
そして、建物全体やマンションの一室を一括で借り上げ、賃貸を
付けて利益を上げる不動産事業者との取引は、対等な業者間取引
とみなされていたからです。
しかし、実態はそうではありません。
最近では、個人の大家が契約時に『30年間一括借り上げ保証です。』
と、いかにも30年間同じ家賃が保証されているかのような謳い文句
にも関わらず、数年後に「家賃相場より高いので保証額を下げます。
承諾できないのであれば保証契約を解除させてください。」と言われる
ケースや、「30年間一括借上げで4年目以降は2年毎に原則家賃を
3%上げます。」との説明で、億単位の借入をしてアパートを建てた
ものの、一度も家賃が上がらず、逆に家賃を減額された挙句、数年後
には保証契約を含めた賃貸管理の解除を一方的にされた、などの事例
が日本住宅性能検査協会に報告されています。
当社のセミナーに参加される方でも、サブリース契約において
「家賃の見直しが入る」という認識を持っていない方も少なくありません。
サブリース契約書を確認させて頂くと、確かに家賃保証の契約期間は
30年となっていますが、家賃の金額については、今の家賃が30年間
保証されるとはどこにも記載されていません。
保証額は数年に一度見直しが入り、その金額に納得できない場合は
保証を解除する旨の条文が入っていることがほとんどです。
当社ではご契約の際に、家賃や物件価格、金利の変動リスクなど
不動産投資におけるリスクの説明書を、契約の形態に関わらず
必ず発行させて頂き、ご署名とご捺印をいただいています。
また金融機関によっては、金利の変動リスクについて理解している
旨の同意書を提出しなければ、融資をしない金融機関もあります。
冒頭でお伝えいたしましたが、今回の規制の対象となる業者は、
国土交通省の任意登録制度に参加する3,735社で、大手と言われ
ているところの大半は含まれますが、全国3万2千社ある賃貸管理
業者の約1割です。
このトラブルを防ぐにあたって、今後は家賃保証減額の説明義務は
全賃貸管理業者に課されることが必須となると思いますが、
ご本人が契約内容をよく理解することも重要です。
契約書には必ず目を通し、内容が分かりづらい条文があれば
遠慮せずに聞き、納得をしたうえで署名・捺印をしてください。
そして、家賃が下がるのか上がるのかを推測することは出来たとしても、
絶対にそうなるとは誰にも断言の出来ないことです。
もしそのような説明を受けた場合は一旦踏み止まり、
冷静に判断してください。