不動産の基礎知識
2011-04-01
『長期的な視野で物件を選ぶ!安定性のあるワンルームマンション』
多くの賃貸借契約が2年ごとの更新という形式を取っているため、短期間での
ブレがなく比較的安定度が高いと言われている不動産投資ですが、物件種別に
よっては、賃料が景気の動向に大きく左右されてしまうケースがあります。
景気の波に弱い物件としては、企業をターゲットとしたテナントやオフィス、
富裕層をターゲットとした大型のファミリー物件、また、最も賃貸需要の高い
単身者向けの仕様でも、六本木や青山、代官山といったエリアの高級賃貸マン
ションなどが該当します。
特にこの現象が顕著に表れたのは、100年に一度の大不況と言われた200
8年のリーマンショック後でした。
サブプライムローンを発端とする金融危機の煽りを日本も受け、オフィスビル
や商業施設などでの空室や賃料下落が、当時大きな問題になりました。
会社役員や外資系企業職員などの富裕層を狙った広めの物件も同様でした。
役員クラスの富裕層は好景気に真っ先に恩恵を受けますが、不景気時の不利益
も真っ先に受けやすいため、彼らをターゲットにした物件は景気が減退すると
需要が減り、安定性に欠けてしまうことが当時浮き彫りになったのです。
また、単身者向けの物件の中でも、前述したような賃料が10万円以上もする
都心の一等地の高級賃貸マンションは軒並み賃料下落という状況に陥りました。
逆に、そんな中安定した賃料水準を保ち注目されたのが、1Kタイプや1Rタ
イプを代表とするコンパクト仕様の間取りで賃料が10万円以内の物件です。
平均的な収入の方が無理なく支払っていける賃料のため、好景気・不景気に関
わらず安定した賃料を維持できたのです。
実際、都内のワンルームマンション(主に賃料7~9万円)を中心に取り扱っ
ている、当グループの賃貸管理会社『シイ・アイ・シー』では、リーマンショ
ック後に管理物件の賃料が大幅に下落という傾向は特に見られませんでした。
また、都内のリサーチ・マーケティング会社が、東京都、神奈川県、埼玉県に
住む単身者を対象に、現在の住まいの賃料や間取り等を調査した記事に以下の
ような見出しがありました。
≪現代のビジネスパーソンは、広すぎる住まいを好まない傾向がある≫
記事に書かれた調査結果を見てみると、都内と比べ賃料が安く、単身者用の住
まいでも若干広めの部屋が多い埼玉県を含めても、単身者が入居中の間取りと
して多い順は、以下のようになっています。
「1K」タイプ…30%
「1DK」タイプ…14.5%、
「1R」タイプ…13.7%
その他の間取りでは、「1LDK」タイプが7.4%となっており、コンパク
ト仕様の「1R」、「1K」、「1DK」タイプの間取りが、合計で58.2%
と、全体の半数以上を占める結果が出ていました。
賃料は全体の約8割が10万円未満との結果が出ているため、調査エリアを都
内23区に絞ったと仮定した場合、他の2県に比べ賃料水準は高い都内におい
ては、1DKよりも1Kや1Rタイプへの集中度がより高くなると思われます。
当該記事は、
『近年のシングル層は、必要以上の広さや、機能を求めず、仕事とプライベー
ト両方の活用を意識して、生活スタイルや好みに合わせてコンパクトなサイズ
で快適なアクセス環境を持つ物件を好む傾向にある』
と分析し、締めくくっています。
不景気の影響のみならず、ライフスタイルの変化からもコンパクトサイズの物
件が好まれる傾向にあるようです。
現在の不動産投資の主流は、長期安定的な賃料収入の獲得を目的としたもので
す。20年、30年と物件を所有する中で景気の波は必ず上下します。
現在のような景気低迷期であっても安定したマンション経営ができるように、
立地や利回りにこだわることも大事ではありますが、景気によって変動する賃
貸市場の動向を考慮して、できるだけ景気の波の影響を受けにくいエリアの物
件を選択していただきたいと思います。