不動産の基礎知識
2010-11-19
『J-REITの組み入れ内容把握は、なかなか大変?』
最近長期・安定的な資産運用として、区分マンション投資とJ-REITを比
較検討している、という話をセミナーに参加されたお客様から伺うことがあり
ます。
そこで今回は、毎日現物の不動産に触れている当社が、J-REITについて
感じている疑問点について書かせていただきます。
J-REITの魅力は、他の金融商品と比べて利回りが高いことや小額で不動
産投資ができるなど様々あります。
また、市場に上場しているものであれば、流動性が高いことも魅力の一つだと
思います。
ただあくまでも不動産への投資ですので、区分マンション投資とJ-REIT
を比較検討するのであれば、物件そのものを比較するべきではないかと思い、
J-REITが所有する物件を調べてみました。
(J-REITはその所有物件を全て公表していますので、個々の物件がどう
いうものかを調べることができます)
例えば、首都圏の住居を中心とした某投資法人は、山手線目黒駅徒歩6分で築
5年の物件を所有しています。
実際にインターネットで物件名を検索すると、ちょうど今募集中のお部屋の情
報を見ることができました。
間取りは22㎡の1Kで募集家賃は112,000円。
場所や間取りのレベル(考え方)は当社と同じですが、家賃が少し高いように
感じましたので、賃貸部門に査定を出させたところ、91,000~95,000円が相
場ではないかとのことでした。
J-REITは、投資家に提案した利回りから逆算した家賃を設定する必要が
あるのかもしれません。そうした結果、実勢の相場家賃とのかい離が生まれて
いるのではないかと思われます。
今仮に相場より高い家賃で貸せていたとしても、長期的にみるといずれは相場
に戻るのではないでしょうか。
また購入価格の点でみると、別の物件にはなりますが、京王線代田橋駅徒歩10
分の1K(築13年/16㎡/家賃66,000円)を約1,300万円で取得していました
が、当社の査定では1,000万円位が妥当ではないかという感触です。
このように、様々な物件の集合体であるJ-REITの物件を少し掘り下げて
みると、毎日現物の不動産に触れている当社には、不安定な要素が浮かび上が
って見えてくることがあります。
もしJ-REITを検討するのであれば、区分マンション投資を検討するのと
同じように、J-REITが所有している物件を1件ずつ精査する方法もあり
ますが、それは現実的に難しいのではないでしょうか。
そういった点では、当社が扱っている現物の区分マンションへの投資の方がわ
かりやすい、と言えるかもしれません。