不動産の基礎知識

2009-11-13

『検証!“30年間の家賃保証”とは…?』

今回は、当社のお客様であるBさんのお話です。

 

Bさんは当社のセミナーに参加した当初、中古マンションも検討されていまし

たが、結局初めに、ある販売会社の新築マンションを購入されました。

 

その新築マンション購入の決め手となったのは、30年間の家賃保証があるとい

うこと、および設定された家賃によれば、毎月のローン返済との相殺において

ほとんど持ち出しがないということでした。

 

それを聞いた瞬間に私は、「えっ?」というなんとも言えない違和感を覚えま

した。

私はワンルームマンション販売の業界に長くいますが、そんな賃貸借契約の内

容は見たことも聞いたこともなかったからです。

 

私は心配になり、早速Bさんに賃貸借契約書を見せていただくことにしました。

 

確かに賃貸借契約の期間は30年とちゃんと明記はされていました。

しかし、賃料の改定という条文も当然のようにあり、その内容は2年経過毎に

相場の家賃に改定をするという条文でした。

 

お客様も少し不安になられてしまったので、まずは私どもの方で、お持ちの物

件の調査をすることになりました。

 

購入したお部屋にちゃんと賃貸は付いているのか?

家賃保証してくれている賃料は実勢相場の家賃なのか?

などの調査を開始しました。

 

結果、購入物件は現在空室。

 

さらに、Bさんがその件について販売会社に確認をしたところ、

「今は時期が悪いので、来春には賃貸が付くでしょう」

と言われたとのことでした。

 

家賃を調べても、周辺エリアの実勢よりも1万円位高いという状況でした。

(新築物件なので、新築プレミアム家賃の上乗せ部分はあると思いますが…)

 

ここで、「実勢以上の家賃を保証してくれているのだから、いいじゃないか」

と考えるのは誤りです。

先にも書きました通り、その家賃は改訂される可能性があるのです。

 

また、もう少し意地悪に考えれば、その販売会社が自ら空室による損失を被る

ような家賃設定をしておいて平気でいるというのは、販売価格にそれを十分カ

バー出来る超過利潤が乗っていたということであり、空室による損失が結局は

Bさんの負担になっている可能性があるということです。

 

Bさんにそのような状況を説明して、将来賃料が改訂されたり、賃貸借契約が

解除されたりして、現在の割高に設定された家賃が実勢の家賃に戻ってしまう

とどうなるのか、また、毎月のローン返済と賃料との差額がいくら位出る可能

性があるのか、などについて理解してもらいました。

そして、今後はそれをどうするのかといったミーティングを真剣に行いました。

 

いろいろなご提案をした結果、Bさんが選択されたのは、毎月プラスの差額が

発生するような収支の良い中古マンションを所有しておき、将来発生する可能

性が高い新築マンションのマイナスの差額を穴埋めできるように、今のうちか

ら準備をしておくという方法でした。

 

その数日後、当社のセミナーでも何度か講演をいただいている長谷川高先生の

ブログにも、同じような内容のコメントが書いてありました。それは、

 

『時々「家賃保証が付いていたので投資した」という声を聞きます。

「30年一括借り上げだったのでアパートを建てた」という声もお聞きします。

これらは、未来永劫、当初取り決めた家賃が保証される訳ではありませんので

ご注意を。』

 

と言う文章で始まり、

 

『「家賃保証が付いているから安心」等という全く根拠の無い気休めは横に置

いておいて、自分の目で将来も「家賃の下落リスクが低いと思われる」(かつ

空室率上昇のリスクが低いと思われる)物件を厳選に厳選をするしかないので

す。この地味な努力と苦労を「家賃保証」という甘い言葉で割愛しては失敗を

招くのみです。』

 

と言う文章で締めくくってありました。

 

(長谷川先生ブログ全文はこちら)

http://d.hatena.ne.jp/digicon/20091009/1255063382

 

私も全くその通りだと思いました。

私どもの提案が全て正しいとは言えないかもしれませんが、少なくとも誠実な

説明と厳選の物件を心がけ、マンション経営をお考えの皆様に、誤った期待や

余計な不安ではなく、安心をお届けできるようにしていきたいと改めて感じま

した。