不動産の基礎知識
2018-09-21
不動産投資の要は目標と目的。それが明確に定まっていない時は!?
「貯蓄から投資へ」政策が始まって20年。
改正外為法施行から始まり、2001年に確定拠出年金法、
2003年には個人の株式や公募株式投信の取引における
税制が改正、2014年にNISAが開始、2017年に
IDECO制度が開始されました。
これらの制度はいずれも、個人の資産形成を促進するための
支援として考えられたもので、国民全体の金融リテラシーの
向上を図るものです。
日本では、未だに資産の大半を貯蓄に回している人がほとんどで、
金融後進国とも言われています。
日本銀行調査統計局が日本、米国、ユーロエリアの金融資産構成比
を調査した結果、「現金・預金」の比率は、圧倒的に日本が高い結果
となりました。
日本:52.3%
米国:13.9%
ユーロエリア:34.6%
米国、ユーロエリアは、株式や投資信託、保険・年金・定型保証
が資産の多くを占めています。
弊社では、資産形成の一つとして中古ワンルームマンションを活用
した投資をお勧めしていますが、このような背景からか、漠然と
「将来に向けて何かしなければ!」と考え、マンション投資をする
目的や方向性などが定まっていない方もいらっしゃいます。
目的や方向性が定まってから投資を始めた方が良いのか?
まずは一歩踏み出した方が良いのか?
こればかりは、お客様の置かれている生活環境や属性によって
答えは異なりますが、今回は「一歩踏み出してみた!」お客様、
N様へのご提案内容をご紹介いたします。
N様は築20年の物件を購入したばかりで、今後、
どの様な物件を買い進めて行くべきかを悩まれていました。
まずは小さい物からスタートしようとお考えになり、築20年、
借入額1,000万円以下の物件を購入したそうですが、長期的な
目で見ると築古を買い進めるよりも、長期安定的な運用が期待で
きる築浅に目を向けられ、一棟アパートにチャレンジする事も
視野に入れていました。
区分と比較して一棟物件は、キャッシュフローが大きく、
非常に魅力的な投資物件ですが、その分リスクも高くなり、
管理の手間も区分とは比になりません。
また、ここ数年程は新築物件の郊外化が続き、不動産価格も
高騰していますので、長期安定的に賃貸需要が見込めるような
1棟案件を探すこと自体、至難の業です。
そして何よりも、N様のマンション投資をする目的や方向性などが
はっきりと定まっていなかったため、1棟物件をお勧めすることは
できない、とお伝えしました。
早期リタイヤしたいなどの具体的な目標や得たいキャッシュフロー
が定まっていれば、1棟物件が近道となります。
しかしN様は、具体的な目標、目的はなく、漠然と
「築浅区分も良いし、1棟も良さそうだな」という感覚でしたので、
まずは築浅区分で買い進める事をご提案させて頂きました。
なぜなら、区分を購入後に1棟物件の融資を受けることができたとしても、
1棟物件を購入後に区分を購入しようとしても、1棟の借入額が大きいが故に、
区分の融資が下りないケースが多々見受けられるからです。
ここでN様が1棟物件を購入してしまっては、
築浅区分を購入する、という一つの手段が潰えてしまいます。
N様の目標、目的が定まった時に何の足枷もない、余力を残した
状態にする最適な方法が、築浅区分マンションなのです。
この提案にご納得下さり、築浅で進めて行くことが決まりました。
ご紹介させて頂いたのは、JR山手線『浜松町』駅徒歩7分、
築5年の物件でした。
エリア、立地、価格も予算に近く、申し分ないとの事でした。
しかし、1件目で築古の1,000万円以下の物件を購入していた
経緯から、少し古くても良いからもう少し安価な物件でも良いの
ではないか、という気持ちが拭い切れていない状況でした。
実は、弊社が築浅をお勧めした理由には、
この築古も関係しています。
それは、節税効果のバランスです。
1件目に購入した物件は築年数が20年を経過しているため、
数年で計上できる減価償却費が減り、節税効果が薄れてしまいます。
マンション投資における節税効果は、あくまでも「おまけ」、
副産物ですので、そこに重きを置いてはいけませんが、享受
できるメリットは享受しておきたいところです。
そこで、大きな額ではないですが、1件目よりも長く減価償却できる
築浅物件を所有することで、薄れ行くだけだった節税効果を補填し、
バランスを保つことができます。
また、仮にN様が「老後の私的年金」を目的に長期保有を決めたとしても、
経済や不動産市況によっては、売却によるキャピタルゲインを狙いに行く
事も、その利益で1棟物件へシフトチェンジしていく事も考えられます。
実際、目標や目的が変化していくお客様は多くいらっしゃいます。
それを見据えると、柔軟性があり、所有していても損のない物件を
所有する事が、リスク回避に繋がるとお話しさせて頂きました。
ここで言う「柔軟性」とは、売却です。
売却するには、融資評価の出やすい物件でなければ、
なかなか売却する事ができません。
融資評価は金融機関ごとにそれぞれ異なりますが、駅から遠い、
徒歩11分以上、昭和58年以前の物件、設備が十分でない、
狭い部屋、総戸数20戸以下など、多くの評価ポイントがあります。
何かしらの事情で売却をしたいと思っても、これらのポイントを
クリアできなければ、融資評価が出ず、売却する事が難しくなります。
弊社がご紹介している築浅物件は、しっかりと融資評価が出る
物件を厳選してご紹介しています。
N様にご紹介した『浜松町』の物件も、当然、
融資評価がしっかりと出ている物件です。
以上の提案をN様はご納得され、
ご購入を決めていただきました。
今後は、マンション投資に求める目的を具体化して行き、
より良いご提案ができればと考えています。
今回の事例の様に、明確に目的や方向性が定まっていない状況で
マンション投資をスタートされる際は、売却するかもしれない、
長期保有するかもしれない、という事を考慮したうえで、
初めの一歩を踏み出してみて下さい。