法改正
2018-04-27
税制改正には毎年アンテナを!!配偶者控除が変わります
「とうごうさんぴん」「くろよん」という言葉を聞いた事はありますか?
これは国税などの税金を集める側が、納税者の収入を
どの程度把握しているかを示す言葉です2021
「とうごうさんぴん」=「10:5:3:1」
サラリーマン10割
自営業 5割
農業や水産業 3割
政治家 1割
サラリーマンの所得は源泉徴収制度によって、
ほぼ全ての所得を税務署が把握出来るため、10割。
自営業や農林業などは申告納税制度のため、プライベートな
支出も必要経費に加えて所得を減らすケースなどもあり、
5割や7割に所得捕捉率が下がります。
政治家については・・・
そのような中、平成29年、平成30年の税制改正により、
個人所得の課税が変わります。
平成29年は配偶者控除、平成30年は給与所得控除と
基礎控除の見直しなどがあります。
配偶者控除については、平成29年税制改正大綱で決定され、
平成30年分(今年)からその適用が変わります。
配偶者控除は、下記4項目に該当している配偶者がいる方であれば、
38万円の配偶者控除を受けられました。
【控除対象配偶者】
・民法の規定による配偶者であること(内縁は該当しない)
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が38万円以下であること
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を
受けていなこと又は白色申告者の事業専従者ではないこと
平成30年分以降は、控除を受ける納税者の合計所得が1,000万円
を超える場合、配偶者控除が受けられなくなります。
また、合計所得額により配偶者控除の額も変わります。
納税者の合計所得額 配偶者控除
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円
1,000万円超 0万円
ここで一つポイントになるのが「合計所得」です。
「年収」ではなく、「所得」に対して計算されるという事です。
サラリーマンの場合、年収から給与所得控除を
引いた金額が給与所得となります。
「合計所得」は、給与所得と不動産所得などを合算したものを言います。
例えば、給与所得1,050万円で不動産所得が△200万円の場合、
1,050万円+△200万円で合計所得は850万円になります。
すると、合計所得は1,000万円以下となり、
配偶者控除の38万円が受け取れる、という事になります。
不動産に限らず、申告上の赤字が出る所得を法律に則り、
きちんと合算すれば、配偶者控除の改正による増税を補う事ができます。
しかし、給与所得950万円で不動産所得が200万円ある場合は、
950万円+200万円で合計所得が1,000万円を超えてしまう
ため、配偶者控除は受けられなくなります。
また、平成30年税制改正大綱により、「給与所得控除」と「基礎控除」
も平成32年分の所得から変わります。
給与所得控除は、仕事をするうえで自己負担する服や筆記用具、
交通費など、サラリーマンの必要経費と言われる控除です。
【現行】
180万円以下・・・・・・・・・収入金額×40%(65万円に満たない場合は65万円)
180万円超360万円以下・・・収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下・・・収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下・ 収入金額×10%+120万円
1,000万円超・・・・・・・・ 220万円
【平成32年】
162.5万円以下・・・・・・・・・ 55万円
162.5万円超180万円以下・・・ 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下・・・・・収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下・・・・・収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下・・・・・収入金額×10%+110万円
850万円超・・・・・・・・・・・・195万円
上記の通り、年収850万円超の方は増税になります。
その代わり、基礎控除が10万円増額になります。
基礎控除とは、所得税や住民税の計算の際に、一律で差し引かれる控除で、
配偶者控除や扶養控除の様に、一定の要件を満たす必要はありません。
平成32年分からは、この基礎控除が38万円から48万円に増えます。
ただし、合計所得2,400万円以下から2,500万円以下に該当する
個人の場合、3段階で基礎控除が減額され、2,500万円を超えると
基礎控除の適用を受けられません。
このように、税制は毎年のように改正されています。
サラリーマンが節税する方法は、自営業の方などに比べると少ないのが
現状ですが、今後の税制次第では、不動産を所有する事による節税は
今以上に有効になるかもしれません。
年末調整制度によって、ご自身で税金額を計算することがなく、
納税額を把握されていない方も多くいらっしゃいますが、
税制改正は毎年行われています。
税制改正でご自身の収入に影響が出るのか?
増税になるのか?
源泉徴収票や住民税の納税通知書なども、確認するようにしてください。