マンション投資の注意点

2018-02-16

700人超えが被害に!?「かぼちゃの馬車」サブリースの支払い停止で自己破産も?

『借り上げ家賃の支払い停止(全国賃貸住宅新聞18/1/22)』

『投資用シェアハウス被害者の会始動(全国賃貸住宅新聞 18/2/12)』

『投資家700人超えが被害に(住宅新報18/2/13.)』

『シェアハウス投資、不正多発、融資資料改ざん(朝日新聞 18/2/13)』

 

なかなか衝撃的な見出しですね。

 

首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」

を運営するスマートデイズが1月、オーナーに対してサブリース

家賃の支払い停止を発表し、波紋を呼んでいます。

 

同社は4年弱という短期間でおよそ800棟もの女性専用

シェアハウスを販売し、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた

かに見えましたが、昨年10月、取引金融機関であるスルガ銀行が

融資方針を変更した事により一転、サブリース家賃の支払いを

完全停止する事態に陥ってしまったのです。

 

1月17日に開かれたオーナーを招いた説明会では、

下記のように説明がされたそうです。

 

「2月からサブリース家賃の支払いを完全停止する。昨年10月

に取引金融機関の融資方針が変わったことで買い手が伸びず、

販売件数が大きく落ち込んで経営が悪化。

深刻な資金不足に陥り、支払いができない状態になった」

 

ほとんどの投資家は、1億~3億円程度の物件を高金利の

フルローンで購入し、オーナーは約700人に上ると見られ、

総額は約1,000億円と言われています。

 

スマートデイズ側は、「融資方針の変更」が破綻の根本で

あるかのように説明をしていますが、

果たして本当にそれが原因なのでしょうか?

 

様々なメディアで既に取り上げらえていますが、

「かぼちゃの馬車」のビジネスモデルそのものに

問題があったのではないか、と言われています。

 

スマートデイズの物件数は、2017年8月末時点で

約800棟10,000室に上り、2017年3月期の

売上は316億9,700万円、2013年7月期の

4億4,502万円から、わずか3年半で70倍近く

まで急拡大しました。

 

しかし、物件数が異常ともいえるペースで増える一方、

入居は全く追いついていなかったようです。

 

不動産ポータルサイトを運営する楽待の取材記事によると、

2017年10月末時点での全体の入居率は40%程度。

 

わずか40%程度の入居率では、シェアハウスの賃貸管理運営

による利益はほとんどなく、当然、サブリース家賃に回す資金

は確保できません。

 

そのため、建築販売によって得た利益をサブリース家賃の

支払いに充て、サブリース事業の赤字を補填するという

“自転車操業”の状態で販売を続け、融資方針が変更された

事で一気に経営が悪化したようです。

 

「かぼちゃの馬車」の入居者募集サイトを閲覧してみましたが、

1棟まるまる空室の物件が多数掲載され、物件の立地も「良い」

とは言い難い物件が目につきました。

 

下記は、2/15時点で全室空室だった物件の一例です。

 

東西線「南砂町」駅 徒歩12分(全20室)

つくばエクスプレス「青井」駅 徒歩12分 (16室)

京成押上線「四ツ木」駅 徒歩15分(12室)

 

本来ローンの返済に充てるべき家賃が見込めず、毎月何十万~

何百万円もの持ち出しを余儀なくされる事から、自己破産者が

続出するのではないか、と危惧されるのが頷ける、まさに惨状です。

 

販売当初はターミナル駅から近く、立地にもこだわった物件を

供給していたようですが、自転車操業状態になってからは、

入居者の需要などは一切考慮せず、土地がある所に構わず

どんどん建てていった結果が、この空室率にもつながって

いるのではないでしょうか。

 

シェアハウスと言えども、入居者は普通のマンションと

同じように利便性を求めることに変わりはありません。

 

また、シェアハウスではありませんが、同じく投資用不動産を

取り扱う弊社からすれば、サブリース家賃の支払いを完全に停止

する前と後で、空室率に大きな違いがあったとは考えにくいため、

「空室でも家賃が保証されるから問題ない」と考えていたオーナー

が数多くいた、という事実にも驚きは隠せません。

 

このシェアハウス投資は「貧困層を含めた女性の社会進出支援」を

謳い文句に、高収入の大手企業サラリーマンや医者、弁護士を中心

に支持を集めました。

 

シェアハウス事業が急拡大できたのは、取引銀行の支援が

あったことに加え、オーナーが収益性やビジネスモデルの

可能性を信じ、多額の融資を受けて物件を購入したからでしょう。

 

しかし、実態は空室だらけで、

ビジネスモデルは破綻していた、というわけです。

 

購入されたオーナーを批判しているのでは決してありませんが、

「社会貢献できるし、サブリースだから安心ですよ」という謳い

文句に惹きつけられ、ビジネスモデルや入居状況の検証を十分に

行わないまま、多額の借金を負った責任は、オーナー自身に帰って

来るという事が、この事案で改めて浮き彫りになったと思います。

 

取引銀行の融資姿勢についても、スマートデイズに対する審査体制が甘く、

貸手責任を問われても仕方がないかもしれません。

 

ここ数日では新たに、販売を担っていた仲介業者が融資を受ける際に

提出する資料の改ざんを行っていた、という報道もされていますが、

問題の根本は、シェアハウスに「入居者が付かなかった」ことにある

のではないでしょうか。

 

サブリース家賃の原資は、

入居者が付いていることによって生じる「家賃」なのです。

 

読者の皆様には、この原理原則をしっかりと理解して頂き、

適正な業者選び、物件選びを行って頂きたいと思います。

 

不動産賃貸業は、

入居者があって成り立つビジネスです。

 

サブリースという謳い文句に惑わされることなく、

業者選定、物件選定、そしてビジネスモデルの

検証をしっかりと行うことが重要です。

 

弊社が推奨している東京の中古区分ワンルームマンションは、

賃貸需要が旺盛で、空室リスクを回避できる安心・安全な投資方法です。

 

この度の事例を参考に、改めて投資方法のあり方について、

お考え頂ければと思います。