不動産の基礎知識

2012-01-27

『自分の資産は自分で守る~管理総会の重要性~』

『自分の資産は自分で守る~管理総会の重要性~』

 

マンションを維持するためには、いつ、どの部分の修繕が必要かという計画を

立て、その計画にのっとって、修繕を実施していく必要があります。

例えば外壁補修は10年前後、給水管修繕は15年くらいを目安にするなど、

30年先までを見すえた計画を立てなければなりません。

 

これが、「長期修繕計画」(以後、「長計」)と呼ばれるもので、適正なマン

ション運営には欠かせないものです。「長計」の中で大切なものは、名前の通

り長期にわたる修繕の実施計画とその際必要になってくる費用の概算です。

 

現在月々支払っている修繕積立金は、このような計画的な修繕を実施するとき

に使われるもので、逆に言うと修繕積立金が不足していれば、どんなに必要が

あっても修繕工事を行うことはできません。

 

「長計」は、いざ工事というときに資金不足に陥らないため、また、資金不足

のために各戸から一時金を徴収する事態を防ぐため、将来必要なお金を今から

少しずつ貯めておく根拠となる重要なものです。

 

ただし、30年先の工事までを計画するのですから、材料や工法の進歩、工事

金額の変化なども十分考えられます。思いの外劣化が進んでいないこともあり、

計画より資金が余ることもあれば、不足資金を補うために修繕積立金を値上げ

しなければいけないこともあります。

 

ここで修繕積立金の積立方法について考えてみましょう。

積立方法は、大きく3つのパターンに分けられます。

 

①最初から高い水準で積み立てていく

②最初は低く、段階的に値上げしていく

③値上げができずに低い水準のまま

 

①②に関しては、「長計」を基に金額を設定しているので大きな問題にはなら

ないでしょう。

 

ただ、③に関しては、計画通りに修繕が行えないとわかっていながら値上げが

できないケースで、積み立てられた金額の範囲内で最小限の修繕のみを行うか、

最小限の修繕費用にすら不足する場合には、一時金を徴収したり、管理組合で

借入を起こしたりすることもあります。

 

資産価値(建物)を維持するためには相応の修繕が必要ですので、最低限の修

繕しかできないのであれば資産価値は下落していきますし、一時金や借入をす

るのであれば、想定外の資金が必要になるということです。

 

これではせっかく作成したシミュレーションも全て台無しです。

しかしながら、こういった現象に陥ってしまうのは建物の管理会社が悪いだけ

ではなく、オーナー自身の責任でもあります。

 

というのも、これらのことは全て管理会社が勝手に決めることではなく、管理

会社のアドバイスのもと管理総会(各オーナー)にて決定するものだからです。

 

投資用マンションの場合、実際に自分が住んでいるわけではないため、オーナ

ーは修繕積立金が値上がる、値上がらないということに関心があっても、値上

げができず建物の修繕が十分にできないことによって、長期的に見たら自分の

資産の価値が下落してしまうかもしれないということまでには考えが及ばない

方が多いようです。

 

そのため、管理総会において管理会社が適切に修繕積立金の値上げを提案した

としても、総会での決議了解※が得られなかったため値上げができず、いざ大

規模修繕を行う際に積立金が不足してしまい、満足な修繕が行えないというケ

ースが多々あるのです。

※議決権総数の2分の1を超える賛成が必要です

 

管理総会は1年に1度だけの開催です。

管理会社や他のオーナーに任せっぱなしにするのではなく、自分の資産は自分

で守るという考えで、総会にはできる限り積極的に参加するのがよいでしょう。

 

やむを得ず欠席する場合にも、事前に送られてくる総会の資料にはしっかり目

を通し、何が議題にあがっているのか、現在の積立状況はどうなのか、今後の

計画はどうなっているのか、など大切な資産の管理状況をチェックする、そし

て問題があれば指摘して改善していくことが、長期的な運用であるマンション

経営においては重要なポイントになってきます。

 

すでにお持ちの方もこれから始める方も、管理総会の重要性を認識していただ

きたいと思います。